ブックタイトルagreeable 第13号(平成22年1月号)

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概要

agreeable 第13号(平成22年1月号)

Agreeable 2010/1 8会員のページ去る平成21年11月25日、静岡県支所恒例の「秋の研修会」が行われました。月末の多忙な時期の開催にもかかわらず、これだけ多数の会員が集まったのは、演題によほどの関心があったからでしょう。二度にわたる「研修会のご案内」を抜粋、要約します。さて昨年に引き続き行いました、文化財・蟻害腐朽検査が一段落し、会員の皆様への報告会を開きたくご案内致します。併せて、本年6月4日に施行された「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」の解説と、静岡県の建築行政について、静岡県県民部建築住宅局建築確認検査室主任・松倉強氏に、また、アメリカカンザイシロアリ等カンザイシロアリの知識と、新建築工法に対応する防蟻対策(工法・工具・薬剤)について、㈱東海白蟻研究所・星野伊三雄氏に講演していただきます。なお、この2年間で検査した文化財10ヶ所分の報告をCD-R(12枚)にまとめました。検査にご協力をいただいた会員には、1社につき1セットを無償でお渡しいたします。研修会は従来にない実務的な内容になります。① 文化財蟻害・腐朽検査については、現実と、今後の実施方法、報告書の問題点について考えるものです。② 長寿命住宅については、私たちのような業者に対して静岡県としても初めての講演になると思われます。すでに私たちにそのシロアリ対策について多くの相談が寄せられているようです。エコポイントがつくという報道もあります。③ 星野伊三雄氏は、自分の持っている技術のすべてを公開すると言ってくれています。アメリカカンザイシロアリの知識ももちろん必要ですが、根本になるヤマトシロアリ、イエシロアリの予防・駆除について、新しい機器・工法も紹介しながらお話しして下さいます。普段の仕事に即応できることばかりです。講演は13時より、田代明弘支所長の将来を見据えた決意表明挨拶から始まり、㈲ホームサービスダイチョウの大長弘和氏の、パワーポイントを使った検査報告へと続きました。先回8ヶ所の検査報告書を作成する段階ですでに気付いていたことなのですが、今回、中島先生、森本先生、福田先生に文書で指摘されたことがあります。文化財という特殊な性格を持った検査対象からくる制約を踏まえ、検査部位の位置、検査の可否をもっと図面に明確にすること、「キクイムシ」と称されている食痕はいずれも「シバンムシ類」であること、また、腐朽菌の名称に不適切な使い方があることなど。総じて検査員は、シロアリ以外の建物害虫や腐朽に対して、まだまだ勉強の余地があるように思われます。松倉氏の住宅の長寿命化に関するお話は、すこぶる合点のいくものでした。38ページもあるテキストをきっかり60分で読み上げ説明し、私たちシロアリ業者の存在がこれからさらに重要視されるだろうと結びました。住宅の長寿命化は建てっ放しでなされるものではありません。定期的なメンテナンスがあってこそ成り立つものです。その点において、蟻害・腐朽検査はまさにその任を負うことになるでしょう。その住宅の履歴をしっかり残し、適切な処置を施していけば、中古住宅の流通も盛んになり、炭素の固定により地球温暖化にも役立つに違いありません。行政も協会の在り方に期待しています。星野氏はアメリカカンザイはもとより、ネバダオオシロアリなどの生体も持参して下さり、日常、氏が使用されている機具類も展示し実際に使って見せていただきました。アメリカカンザイシロアリが現在注目を集めていますが、現実に静岡県で確認されているのは浜松市の1ヶ所だけです。それよりももっと根本的なヤマト・イエシロアリの駆除方法を研究した方がいい。現在の仕様書では新工法に対処できないでしょう。基礎ひとつとっても多種多様です。基礎断熱による被害は、経験しなければわかりません。見えていても見る目がなければ、見えていないのと同じことです。静岡県支所で、県内のイエシロアリの分布図を作っていますか。残念ながら私たちは支所としての分布図を持っていません。それぞれが生息場所を知ってはいるけれど、まとめたものはありません。氏の言うようにもっと足元を固めることが必要です。今後の課題ができました。また、実際に経験した再発現場を考えてみると、断熱材が起因していたと思われるものがいくつかあります。いわゆる新工法による比較的新しい住宅です。そういう構造であると知らなければまず完全な処理はできないでしょう。協会で特殊と思われる被害例を集める必要があります。2回の休憩をはさむだけの4時間近い研修会でしたが、例年にない充実感を感じたものです。「秋の研修会」を終えて山島眞雄中部支部静岡県支所副支所長/㈱アルパイン・エンタープライズ