ブックタイトルagreeable 第14号(平成22年4月号)

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概要

agreeable 第14号(平成22年4月号)

寄稿7 Agreeable 2010/4時刻が大幅に遅れ、また離陸後にも給油のために台北に立ち寄るといういささか不安な出足でした。不安を抱え離陸した飛行機が無事ホーチミン到着した後は、車に乗り換えカッティエン国立公園へと向かいました。車線変更を繰り返し次々に追い越しをかけていくバスとトラックのいる空港周辺を抜け、中央線があるようでない道を走り、カッティエンに到着したのは深夜の23:00でした。翌日公園長のMr.ハンとの話し合いを行い(写真2、3)、公園内の調査サイトの決定を行いました。案内された森林は比較的大きな石が多く、雨期には地表が流されてしまうらしく地面が固くリターが少ない場所で、倒木や落枝もほとんどありませんでした。林内はマレーシア同様薄暗いのですが、木々の樹高が低く、空気が乾燥しているように感じられました。カッティエンで採集されたシロアリはほとんどが土壌食シロアリあるいは菌食シロアリ(写真4)で、木材食シロアリがほとんど採集されなかったのは調査サイトに倒木や落枝がほとんどみられなかったためであると考えられます。2日間の国立公園での調査終了後はTan Lap の植林地に向けて移動しました。運転手の方は少し渋られたようでしたが、Mr.ハンのすすめで山岳の道を通ることになりました。その道を行くには運転手の話では3時間程度かかるとの話でした。峠の道は舗装されておらず、また降雨によって雨水路ができ、車での走行は非常に困難で運転手がこの道を通ることを渋った理由がよくわかりました。しかし車は見事に3時間で峠を走破し無事にホテルに到着しました。後でわかったことですが、運転手の方も初めて通る道だったそうです。次の日からはTan Lap の植林地で調査を行いました。植林地はカッティエン国立公園とは異なり、下草が多く生えておりツムギアリが非常に多く生息していました。調査では菌食シロアリが多く採集され、また国立公園ではほとんどとれなかった木材食シロアリ(写真5)が採集でき、日本ではあまり感じることができない林分により採集できるシロアリが異なるということを実感しました。4.最後に今回同行させていただいたベトナム調査において、乾燥林に生息するシロアリに初めて触れる機会を得ることができました。温帯はもちろん、熱帯多雨林とも異なった多様性は如何に地理や気候に対応しているかを体感できました。この機会を与えてくださった吉村先生、またベトナムで同行してくださった川口さんにこの場を借りて深くお礼申し上げます。写真3 カッティエン国立公園にて、調査メンバーとハン氏との記念撮影写真5 植林地の木材食シロアリ(Microcerotermesの1種)写真2 挨拶を交わすMr.ハン(右)と吉村准教授(左)写真4 菌食シロアリMacrotermesの菌園