ブックタイトルagreeable 第18号(平成23年4月号)

ページ
12/20

このページは agreeable 第18号(平成23年4月号) の電子ブックに掲載されている12ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play

概要

agreeable 第18号(平成23年4月号)

乾材害虫Agreeable 2011/4 10これから数号にわたって、カラー写真が掲載できるagreeableで、地味な体色の乾材害虫たちをご紹介していきたいと思います。ラワン(メランチ)やゴムノキなど広葉樹を使った家具やフローリング、合板などにヒラタキクイムシ科の昆虫による被害(写真1)が発生することがあります。日本には現在ヒラタキクイムシ科の昆虫は7種知られており、中でも森林総合研究所(茨城県つくば市)への問い合わせでは、この5年間でもヒラタキクイムシによる被害の問い合わせが最多でした。関西地区ではアフリカヒラタキクイムシによる被害が多発しているようですが、これは各製品の原料となる木材・木質材料の流通経路の違いに原因があるのかもしれません。ヒラタキクイムシ成虫(写真2)は広葉樹特有の組織である道管や木材表面の割れ目などに産卵し、卵から孵った幼虫(写真3)が木材を食べて脱皮を繰り返して成長していき、蛹(写真4)を経て新たな成虫となります。なお、ヒラタキクイムシ科は分類上、ナガシンクイムシ上科に属します。ヒラタキクイムシのことを、「キクイムシ」と省略して話す方も多いと思いますが、分類上のキクイムシは別にいます。有名どころとしては、最近、ナラ・カシ類を枯れさせて問題となっているカシノナガキクイムシなどのように、生きた樹木を加害する昆虫で、分類上はゾウムシ上科のキクイムシ科に属します。独立行政法人森林総合研究所大 村 和香子ヒラタキクイムシ産卵されたのはこの単板のみ=幼虫が食べたのはこの単板のみ表層からの成虫の脱出孔写真1 ヒラタキクイムシの被害にあった合板(内層の単板だけ食害が認められる(写真右下部分))1mm写真3 ヒラタキクイムシ蛹1mm写真4 ヒラタキクイムシ終齢幼虫写真2 ヒラタキクイムシ成虫1mm