ブックタイトルagreeable 第21号(平成24年1月号)

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概要

agreeable 第21号(平成24年1月号)

ちろんこれは最大限に見積もっての話ですが、当たらずといえども遠からずだと思います。つまり、日本のような温帯地域の都市の生態系においても、シロアリは「普通」に「たくさん」存在している生き物なのです。シロアリにとっては、人間が住宅などに使っている木材はもともとの餌である植物遺体と何ら変わりはありません。こう考えて見ると、日本におけるしろあり被害は、生態学的には当然のことであると言えるのではないでしょうか。“シロアリ”は白いゴキブリ!?  さて、シロアリは“白”い“蟻”ではありません。より正確に言うと、シロアリは“白”い“ゴキブリ”です。皆さんの中には、“えっ?”と思われる方も多いと思いますが、これは形態学的にも遺伝子学的にも確かめられています。さらに付け加えると、“黒いシロアリ”も熱帯にはたくさんいます。また、これこそもっと“えっ?”となりますが、カマキリもシロアリの近い親戚筋に当たります。図には、(社)日本しろあり対策協会のホームページから引用したシロアリとアリの有翅虫(いわゆる羽アリ)を示していますが、①触角がシロアリでは玉が連なった直線状(数珠状)であり、アリでは“くの字状”であること、②翅の形がシロアリでは4枚同じ大きさ、アリでは後翅が前翅に比べて小さいこと、③胴体のくびれがシロアリにはなく、アリにはあること、の3つの点で、簡単に区別することができます。梅雨時に夜に室内に飛び込んできた羽アリを、「シロアリではないですか?」、と心配される方がいますが、これらの点に注意すれば間違うことはまずないでしょう。また、アリは卵─幼虫─蛹─成虫というすべての段階を持つ完全変態の昆虫ですが、シロアリは卵から孵化した幼虫が脱皮を繰り返して成虫にまで成長する不完全変態の昆虫です。 次回は、シロアリという生き物の特徴について、社会性昆虫という点からお話したいと思います。写真 生態系における優占種の例。アフリカ・セレンゲティ国立公園(タンザニア)の草食動物(左:オグロヌーとグラントシマウマ)と同・マサイマラ国立保護区(ケニア)のシロアリ塚(右:左の1頭がハーテビースト、右の3頭がトビ)(両写真提供:渡壁 大氏)図 シロアリとアリの羽アリの比較①触角の形の違い②前翅と後翅の大きさの違い③胴のくびれの有無((社)日本しろあり対策協会HP より)シロアリ アリ3 agreeable vol.21 january 2012/1