ブックタイトルagreeable 第21号(平成24年1月号)

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概要

agreeable 第21号(平成24年1月号)

 わが国の2011年の人口は、1億2、776万人で、このうち老年人口(65才以上)は23%です。2024年には老年人口が3割を突破します。この高齢者をターゲットにした悪質商法による被害が増え続けている現状から、訪問販売に関する規制強化を柱とした「特定商取引法」という耳なれない法律について消費者の目線で記述し、悪質商法の排除、被害の減少に少しでもお役立ち出来れば幸いです。 特定商取引法(以下「特商法」)は、特商法所定の訪問販売に該当する取引を行う事業者に対して(表1)のとおり種々の行為規制を設けています。本号では改正された行為規制から説明します。 平成21年12月1日から施行された改正特商法は、判断能力の不足した高齢者等に対する訪問販売などによる被害が深刻化したことにより改正されたものです。改正の内容について1.規制の抜け穴の解消 原則として指定商品・指定役務制は廃止(規制の対象とすることがふさわしくないものはネガティブリストとして掲げることとなった)されました。これにより12月1日以降は、消費者側は、訪問販売や電話勧誘販売で締結された契約であることなどを主張すれば足りることとなり、事業者側において適用除外になることを主張立証しなければならないことになりました。ただし、行政処分を課す場合については変更がなされていません。2.訪問販売規制の強化(イ) 勧誘を受ける意思の確認義務の新設(努力義務、勧誘受諾意思確認義務) 義務の主体:訪問販売しようとする販売業者に限られます。(電話勧誘販売の場合にはこのような義務は課せられていません。) 義務が発生する場合:販売業者が「訪問販売しようとするとき」であり、具体的な契約締結の勧誘行為に入るまでの間に確認する必要があります。 確認義務の対象:特商法3条(明示義務)に定める事項を明示したうえで、勧誘を受けるか否かの諾否を確認するべきです。 義務の性質:努力義務ではあるが法律上の義務であるからその違反の程度が著しい場合などは民法の不法行為法上の違法性を根拠づける要素にはなりえます。(ロ) 拒絶者に対する勧誘継続、再勧誘の禁止 消費者の訪問販売に係る売買契約または役務提供契約を締結しない旨の意思表示に対しては、販売業者は、その売買契約または役務提供契約の締結を勧誘してはなりません(特商法3条の2第2項)。①必要な拒絶の意思表示の内容 契約を締結しない旨の意思表示です。 消費者は、自分に対して勧誘をしようとする者あるいは、現に勧誘をしている者に対してする必要があり、口頭で伝えたり、身振りや態度などで契約を締結しない意思を相手が認識できる限り、この意思表示としては十分です。消費者目線で読むアペックス(株)  坂本 輝美特定商取引法と改正特定商取引法第一回agreeable vol.21 january 2012/1 6