ブックタイトルagreeable 第22号（平成24年4月号）

概要

agreeable 第22号（平成24年4月号）

被災した多くの文化財　東日本大震災から１年が経ちました。この震災で、岩手・宮城・福島・茨城県など被災地では、国宝など国関連だけで、７４４件の文化財が被害に遭ったそうです。まだ不明の自治体指定文化財などを入れると、膨大な数になります。その修復、保存作業には、永い年月と、特殊な技能が必要になることでしょう。あるいは、もう復元できないものもあるかもしれません。私たちの先人が育ててきた、ひとつの文化が死んでしまったことになります。　文化財は、それが、作製、建造された時代の、単なる歴史的資料だけではなく、私たちの誇りでもあります。誇りの継承であるわけです。それが失われてしまうことは、ある意味、綿々と続いてきた私たちの営みが、途切れたことになるのかもしれません。　ちなみに、被災４県には国指定だけで１０７棟の建造物がありました。そのうちどれだけが被災したのでしょう。文化財の種類　さて、前号では、「『静岡県文化財蟻害・腐朽検査』５年目を迎えて」として、その経過と、問題を書きました。　今号が発行される頃には計画通りにいけば、「第５回蟻害・腐朽検査」は終わっていることでしょう。３月15日現在、16社、23名が参加していただけることになっています。　対象は、国指定文化財４棟、県指定３棟、市指定２棟の合計９棟になります。（表１）　早い時期から準備を始めたので、なんとか４月６日（しろありの日）に間に合いました。　私たちが対象にしているのは、文化財でも主に建造物ですが、この文化財には次のようなものがあります。① 有形文化財〔国宝〕〔重要文化財〕〔登録有形文化財〕（建造物はここに入ります）　 　有形の文化的所産で、わが国の歴史上または芸術上価値の高いもの。考古資料その他の学術上価値の高い歴史資料② 無形文化財〔重要無形文化財〕〔選択無形文化財〕　 　無形の文化的所産で、わが国にとって歴史上または芸術上価値の高いもの③ 民俗文化財〔重要無形民俗文化財〕〔重要有形民俗文化財〕〔選択無形民俗文化財〕　　衣食住等に関する風俗「文化財蟻害・腐朽検査」について（株）アルパイン・エンタープライズ　山島　眞雄産経新聞　（2011年６月８日）指定所在市町文化財名称構造・建築面積棟数所有者・所在地市御殿場市旧秩父宮御殿場御別邸草葺き母屋木造、平屋建、萱葺き屋根、200㎡1御殿場市（都市整備課）秩父宮記念公園として指定管理者が管理御殿場市東田中1506-26TEL.0550-82-5110国袋井市尊永寺仁王門三間一戸楼門、柿葺き附　棟札一枚1尊永寺袋井市豊沢2777TEL.0538-43-3601国・県袋井市油山寺山門、三重塔、本堂内厨子、本堂、書院、方丈6油山寺袋井市村松1TEL.0538-42-3633市三島市禅叢寺鐘楼門1禅叢寺三島市玉川49番地TEL.055-975-8704（表１）平成24年度文化財（建造物）の蟻害・腐朽検査希望一覧静岡新聞　（2012年3月11日）agreeable No.22 april 2012/4 12