ブックタイトルagreeable 第22号(平成24年4月号)

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概要

agreeable 第22号(平成24年4月号)

担当課に検査希望調書を送ってもらい、その調書を集めています。方法としてはもっと他にもあると思います。例えば、文化財のリストがあれば直接所有者と話をすることもひとつの方法ですし、HPやメディアを使って公募することも可能でしょう。② 検査対象の決定とリーダーの決定・下見   調書が集まった時点で理事会を開き決定します。静岡県は東西に200㎞もあるので、東部・中部・西部の3地域に分け、基本的には各地域から2ヶ所程度を選びます。当初は20棟以上検査をしたこともありましたが、継続するためには無理をするべきではないと考え、現在の数に抑えています。同時に各物件のリーダーも決めておきます。③ 検査参加者の募集   対象物件の一覧を添えて全会員にFAXで募集します。検査実施日の1カ月前には通知します。④ 参加者の振り分け   参加者が確定した時点で三役と事務局とで、地域、対象の大きさ、難度等を考慮して振り分けます。(本年度は会員34社中16社23名が参加します)各グループに必ず「蟻害・腐朽検査員」と「しろあり防除施工士」が1名以上いるようにします。結果に静岡県独自の「検査要領書」を付けてFAX します。⑤ 下見   リーダーは既に決めてあったので、④までの過程のうちに現地を下見し、所有者、管轄する行政とも打ち合わせをしておきます。図面は基本的には調書と一緒に集めておくのですが、ない場合はこの時に作ります。修理履歴なども聞き取ります。⑥ 検査   検査前にリーダーを中心に30分程度のミーティングを行います。検査要領書に基づいて、あくまでも目視が原則であること、写真の撮り方(どこを、どちらから撮ったのかなど)、養生、その建物で特に気をつけなければならない点などを伝達します。大きな建物でも3時には終了するよう、分担も決めます。終了時には必ず反省会を行います。⑦ 報告書の作成   基本的には既に作成してあるフォームに従って、リーダー及び蟻害・腐朽検査員が作ります。但し経験のない者ですと難しいので、経験者がフォローします。完成したものを随時本部事務局に送り、委員会ないしは担当の先生の添削を受けます。このやり取りにかなりの時間がかかります。本部から「蟻害・腐朽検査証」が発行されて報告書は完成します。   完成した報告書は各対象物件毎に3部づつ、加えて全現場の報告書をインスツールしたDVD を添えて、県教委文化財保護課に提出します。保護課から市町の担当課に渡り、所有者にも渡ります。当然のことながら参加者にはすべてこのDVDが送られます。⑧ 報告会   秋に講習会を兼ねて行われます。一昨年までは会員にしか通知しませんでしたが、昨年からはオープンにし、一般の方も参加ができるようにしました。告知する時間がなかったために、一般参加が2名しかありませんでしたが、告知方法、対象、複数会場にするなど工夫をすれば、もっと参加者も増えるだろうと思います。さいごに 簡単に検査完了するまでの流れを書きましたが、まさにこれは事業です。ほとんど一年がかりといってもいいでしょう。まだ一部の人にしか認知されていませんが、継続していけば、必ず社会に大きく寄与する事業として認められます。文化財の保存には欠くことのできない検査であるのは勿論のこと、波及して木造住宅の長期寿命化にも貢献します。その検査報告書は各々の住宅のカルテとしての役割を果たすでしょう。中古住宅の流通には欠かせないものになります。 今年の秋の報告会には是非一般の方々、行政関係者、建築関係者など、多くの方々に参加してもらいたいものです。文化財の現状をまず見て欲しい。そして力を貸してほしい。 地域の誇りを守るために。静岡新聞 (2011年10月13日)17 agreeable No.22 april 2012/4