ブックタイトルagreeable 第22号(平成24年4月号)

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概要

agreeable 第22号(平成24年4月号)

シロアリは真社会性の昆虫 前回は、“シロアリ”と“しろあり”、つまり、生物としてのシロアリと害虫としてのシロアリの基本的な知識についてお話しました。第2回目の今回は、シロアリの社会についてお話したいと思います。 シロアリは、クロアリやハチとともに社会性昆虫と呼ばれます。社会を維持する、つまりいろいろな役割を持った個体(階級=“カースト”と呼びます)からなる集団(“コロニー”と呼びます)を維持するためには、それなりの仕組みが必要です。社会性昆虫と認められるためにはいくつかの条件がありますが、シロアリは、生活の仕組みとして次の3つの条件を満たしていることから、“真社会性昆虫”に分類されます。① 生殖を行う個体(生殖階級)と生殖を行わない個体(非生殖階級)が分離している。② 複数の個体が共同で育児を行う。③ 複数の世代の生殖個体がコロニー内で生殖を行っている。 図には、(社)日本しろあり対策協会のホームページから引用した、日本で最も広く生息するヤマトシロアリの階級とその分化の筋道を示しました。まず、生殖階級である女王と王が交尾をし、女王が卵を産みます。シロアリは不完全変態の虫なので、孵化した幼虫はシロアリの小型版の姿をしています。この幼虫が数回脱皮を行った後、「働きアリ・兵隊アリ」ルートと「ニンフ」ルートの2つに分かれます。これには、遺伝子的な要因と環境的な要因の両方が関与していると考えられています。その後、ニンフは翌春に羽アリへと成長し、群飛を行ってペアを探すことになります。この図には、副王と副女王が描かれていますが、これらは、女王や王が何らかの原因で生殖できなくなった時にその代役を務めるという役割を持っていて、コロニーの中にある一定数存在しています。ちなみに、種類によっては女王シロアリが最大10センチ以上にもなるものもいて、寿命は20年以上(!)もあると考えられています。 働きアリはコロニーの90?95%を占め、採餌から幼虫の世話、そして巣の補修にいたるまですべての仕事を受け持つ階級です。一方、兵隊アリは外敵に対する防衛のためだけに存在する階級で、成熟したコロニーでは2?3%の割合を示します。シロアリの兵隊アリの頭の形は、その防衛方法、すなわち噛みつき型、跳ね飛ばし型、液噴射型、栓型などによって非常に多様性に富んでいて、見ていて本当に飽きません。また、よく、「働きアリや兵隊アリの寿命はどのくらいですか?」、と聞かれることがあります。シロアリは1個体で飼い続けることが難しく、正確なデータをとることは難しいのですが、およそ2?3年程度だと考えられています。京都大学生存圏研究所 吉村 剛シロアリの知識第二回シロアリの社会図 ヤマトシロアリの階級分化((社)日本しろあり対策協会HP より)agreeable No.22 april 2012/4 2