ブックタイトルagreeable 第23号(平成24年7月号)

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概要

agreeable 第23号(平成24年7月号)

どのくらいの期間でどの程度の食害が進むのだろうか。 「1週間もしないでこのくらいボロボロになります。」 食痕を示す30センチ程の木材は、ほとんど木目だけを残した状態でした。(写真10) さて、ここで飼育されているシロアリはどのように利用されているのでしょうか。 「薬剤のメーカーさんから効力試験の依頼があったときに使います。薬剤の効力試験は公的機関でやることになっていて供試虫がイエシロアリと決められているのでこれを使っています。試験方法によっては働きアリと兵アリの数が決められているのでその数を取り出します。あとは研究室でシロアリの走光性や味覚試験などをするときにも使っています。」 もっぱら、研究所内での試験研究用に使用しているので、外部の事業所などに譲ることはないそうです。 飼育室を出て、研究棟に戻る道みち、「ヤマトシロアリなら、この研究所の敷地内にいくらでもいますよ。行ってみましょう。」 研究所内の建物の入り口そばの草むらに無造作に転がしてあった腐った木材をひっくり返してみると、無数のヤマトシロアリが現れました。(写真11) はたしてこんな近くにシロアリがいて建物の方は大丈夫なのか聞いてみました。 「今まで被害にあっているという話は聞いてないです。」 シロアリは3億年前から生きている昆虫、これからも絶滅することはありません。シロアリ研究は、一般の人にはあまり知られていない地味な研究です。しかし、シロアリがこれからも永遠に生き続けるかぎり、この研究も終わることはないでしょう。これから先も研究が途切れることがないように願いつつ、森林総合研究所を後にしました。? シロアリの利用? どこにでもいるヤマトシロアリシロアリ飼育、研究現場訪問写真10  イエシロアリに喰害された木材写真11  建物そばの草むらに放置された古材に群がるヤマトシロアリ? 続けてほしいシロアリ研究編集雑記 原発の稼働もままならず全国各地で電力の不安な夏をお過ごしと思います。今年は4年に一度の閏年。オリンピックイヤーで今頃ロンドンでは様々な感動とドラマ、そして記録(レコード)更新で盛り上がっていることでしょう。 一方、国会では今まで「シロアリ」という言葉がこれほどまでに連呼されたことはないくらい話題になっています。シロアリが注目されるのは有難いのですが内容的には如何かとも。その政権も公約を平然と翻し無理にでも法案を押し進めようとしているようですが、どうも付け焼刃的で、次世代に先送りされている感が否めません。「立場が代われば見るものも変わる」と言いますが、主義主張がない政権は国民にとってまさしく想定外です。国政を決め得る立場の方たちの行動や言動は記録され歴史となっていくことと思います。 本年は閏年に加え閏秒でもありました。過ぎゆく時間は修正が出来るのですが、過ぎた時間は修正できません。このアグリアブルもシロアリ業界の記録の一つとして存在していますので後悔のない紙面作りに貢献させて頂きたいと思います。(山辺 利成)agreeable No.23 july 2012/7 20