ブックタイトルagreeable 第24号(平成24年10月号)

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概要

agreeable 第24号(平成24年10月号)

AmericaJapanはじめに 4回の連載も今回で最後になりますが、最初にお詫びを申し上げなければなりません。2回目の連載(No・22)の最後に、「次回の3回目は、被害の発生と関係の深いシロアリの好き嫌いについて紹介します。」と書きましたが、前回の3回目(No・23)では、急遽内容を「シロアリの能力を人間社会に活かす」取り組みに変更いたしました。お詫びいたします。アメリカカンザイシロアリの分布と被害 さて、最終回の今回は、今日本においてその被害拡大が懸念されているアメリカカンザイシロアリについて紹介します。 アメリカカンザイシロアリはその名前の通り“アメリカ”に棲む“カンザイシロアリ”です。米国ではWestern dry-woodtermiteと呼びますが、Westernつまり北米大陸の西側、ワシントン州からメキシコのカリフォルニア半島にかけての太平洋岸に主に生息しています。このシロアリに詳しいカリフォルニア大学・バークレー校のルイス博士によると、米国における木材害虫被害の最大20 %を占める重要な害虫とのことです。カリフォルニア州南部で最も被害が多く、住宅の50%近くに被害が認められる地域もあるようです。 1976年の東京江戸川区における日本での最初の被害報告から36年が経過しました。最近報告された新潟の事例も含めて、図には最新のアメリカカンザイシロアリの被害分布を示しましたが、この図に示した都府県全域に一様に分布しているわけではなく、何カ所かの被害地区が発見されているということです。 カンザイシロアリの仲間は、イエシロアリやヤマトシロアリのように地中を通って餌を探すことはありません。基本的に、数百から数千個体からなるコロニー全体が乾いた木材の中で一緒に暮らしています。羽アリは6?9月に少数ずつ発生し、その結果、一つの住宅の屋根裏で多くのコロニーが存在することになります。さらに、被害住宅から飛び出した羽アリによって近隣の住宅へと少しずつ被害が拡大してゆきます。写真は被害住宅の屋根裏の様子と被害材から取り出したコロニー、そしてペレットの拡大図です。複数のコロニーから排出されたフン(長さ1㎜前後。俵状で6本の筋が入った特徴的な形で、ペレットと呼びます)が天井板にちらばっていることが良くわかります。ただ、個々のコロニーの個体数は少なく、被害の進行そのものはゆっくりとしています。 最近、横浜市のある地区において5年間で2倍以上の住宅に被害が拡大した例が報告されました。このような現状から、筆者は現在の日本における被害件数を数万件と推測しています。先ほど紹介したように、アメリカカンザイシロアリの米国での被害率と経済的重要性には非常に高いものがあります。日本において今後京都大学生存圏研究所 吉村 剛シロアリの知識第四回アメリカ カンザイシロアリ図 アメリカカンザイシロアリ被害の発生地域((社)日本しろあり対策協会HP 資料より改変)agreeable No.24 october 2012/10 2