ブックタイトルagreeable 第24号(平成24年10月号)

ページ
6/22

このページは agreeable 第24号(平成24年10月号) の電子ブックに掲載されている6ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play

概要

agreeable 第24号(平成24年10月号)

 今回は長期優良住宅についてお話します。日本の住宅は建てられてから壊されるまでの期間が欧米諸国に比べて短いといわれてきました。そこで、住生活基本法を受けて省資源・環境負荷の軽減、国民の住宅に関する費用負担の軽減および住宅の資産価値の向上を目指して、環境に優しく長く住み続けられる住宅を地方公共団体が認定する制度が、2009(平成21)年に施行された「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」によって始まりました。長期優良住宅の性能要件 長期優良住宅は、長く住み続けられるように、次のような高い性能を備えています。 (1)住宅の長寿命化のために必要な基準  ① 耐久性を発揮させるための劣化対策  ② 強い地震に耐える高い耐震性能  ③ 維持管理・更新の配慮、容易性  ④ 間取り等の変えやすさ(可変性:共同住宅が対象) (2)社会的資産として求められる性能  ① バリアフリー性(共同住宅が対象)  ② 省エネルギー性 (3)その他の必要要件  ① 住環境への配慮、良好なコミュニティー  ②一定以上の床面積  ③維持保全計画の作成維持保全の必要性 これらの性能を維持保全するために、構造上主要な部分、雨水の侵入を防止する部分および給排水設備を定期的に点検し補修することが住まい手に求められ、維持保全計画の作成が義務づけられています(表1)。この維持保全計画どおりの点検・補修が行われなければ、認定の取り消しが行われ、国庫補助や税制上の優遇措置など補助金の返還が求められます。住宅履歴情報の保存 長期優良住宅を長く維持していくためには、維持保全計画どおりにメンテナンスを行い、建築時や点検補修、部品・部材の交換などの記録をきっちりと「家歴書」とか「ハウスカルテ」などの住宅履歴情報として保存していくことが重要です。適切な維持保全、点検、修繕等を行うことができるように設計図面、使われた建材等の仕様書、各種設備の取扱説明書、点検結果、修繕時の工事内容の記録をきちんと工事業者、施工者から受け取って保存する必要があります。構造部材の点検 住宅の主要な構造部分である基礎、土台、柱、梁などが劣化すると、耐震性など構造安全性が損なわれ、地震や台風、豪雪などで倒壊する恐れが出てきて安心して長く住み続けることができなくなります。木造住宅では、構造部材がシロアリの被害を受けたり、腐朽することがあります。シロアリや腐朽菌の活動には一般的に湿気が影響します。屋根や外壁の雨漏りや結露などによって構造部材が湿った状態が続くことが被害の主な原因になっています。また、鉄骨造住宅でも湿気によって鉄骨の柱などが錆びてもろくなる場合があります。このような構造部材の劣化は定期的な点検によって、早期に適切な対策を講じることで長持ちさせることができます。住宅を雨から守る 長寿命化には住宅を雨から守ることが最も大切になります。まず、屋根の点検では、雨漏りを生じないようにスレートや瓦などの屋根ふき材料のずれや欠け、変色、雨どいのつまりなどの不具合をチェックします。外壁の点検は、モルタルやサイディングなどの壁材にひび割れや変色、剥離、継ぎ目のシーリング材大阪市立大学生活科学部 土井 正建築の知識第四回頑丈で長持ちする木造住宅木の住まいagreeable No.24 october 2012/10 4