ブックタイトルagreeable 第25号(平成25年1月号)

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概要

agreeable 第25号(平成25年1月号)

平成24年11月21日、名古屋市で開催された第55回全国大会において、第7回目となる研究発表会が開催されました。その発表の概要を紹介します。第7回 研究発表会 平成24年6月、宮崎県の白蟻防除業者より炭を含有したホウ酸製剤について教えて欲しいとの連絡がありました。炭を含有したホウ酸製剤で処理した家屋でイエシロアリが発生し床下に異常なほど多くの蟻道が構築されているとのことでした。6月、被害家屋の調査を行いました。この建物は昭和62年建築、布基礎、土間コンクリートの建物で平成22年に炭を含有したホウ酸製剤で処理されています。土台、布基礎、大引きが真っ黒に塗布されていました。蟻道の上にも黒いホウ酸製剤が塗布されています。シロアリ知識がない業者が施工し、施工から2年で被害が拡大しています。床下の蟻道が非常に多いので8月に再調査しました。床下の布基礎はホウ酸製剤で処理した部分と処理していない部分が半々です。なぜか処理していない部分よりホウ酸製剤で処理した部分に非常にたくさんの蟻道が構築されています。通常、シロアリは薬剤処理した部分を避けて蟻道を構築します。しかし、薬剤処理した部分に蟻道が集中しており、炭を含有したホウ酸製剤処理部はシロアリに対し何らかの誘引性があるのではないかと大きな疑問を感じました。 炭を含有したホウ酸製剤のシロアリ誘引性を確かめるためイエシロアリ営巣を用いた蟻道構築確認試験を行いました。平成24年10月、当社のシロアリ飼育室で確認試験を行いました。使用薬剤は、炭を含有したホウ酸製剤(A)、日本木材保存協会認定のホウ酸製剤(B)、白対協認定土壌処理剤(C)を用い、シロアリは営巣7年程度と推定されるイエシロアリ営巣を用いました。試験方法は、6×10×21㎝の通常のセメントレンガを薬剤処理し、レンガの上に餌木を設置し、イエシロアリ営巣の近くに置いてその上にイエシロアリがどのように蟻道構築するか観察しました。レンガは薬剤処理したレンガ3個(A 薬剤処理、B 薬剤処理、C薬剤処理)と無処理レンガ2個です。設置1時間後、A処理レンガには上部までシロアリが這いあがり、B処理レンガは一部這いあがっています。2時間後、A処理レンガはシロアリが活発に這いあがり、全体に広がっています。B処理レンガにも這いあがっています。Cと無処理レンガには這いあがっていません。12時間後、設置したレンガ全てでシロアリの這いあがりが確認されました。36時間後、全てに蟻道構築が確認されました。8日後、全てのレンガに蟻道が構築され、新たな蟻道の構築はおこなわれなくなったので試験を終了しました。結果として、炭を含有したホウ酸製剤A 処理レンガとB処理レンガに蟻道、蟻土が多く構築され、特にA処理レンガは全体の80%が蟻土で覆われました。 本来、シロアリの侵入、被害を防止するため処理する薬剤にシロアリ誘因性があることは大きな問題であると考えています。炭を含有したホウ酸製剤については予防剤としての性能を再度評価する必要があると思われます。この製品の製造者及び開発関係者には誘因性の原因究明を行い、商品の改良、対応が行われることを期待します。◎炭を含有したホウ酸製剤処理部の蟻道構築について発表者 廣瀬産業 株式会社 廣瀬 博宣 氏agreeable No.25 January 2013/1 14