ブックタイトルagreeable 第25号(平成25年1月号)

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概要

agreeable 第25号(平成25年1月号)

 文化財蟻害・腐朽検査は、静岡県協会がこれまで一番長くやっていますのでこれまでやってきたこと、今やっていることについてお話をしたいと思います。静岡県協会では平成20年から5年間で25か所の文化財建造物の検査を行っています。対象建物は、静岡県教育委員会で各市町村に募集文書を出してもらい、県内の東・中・西部からのもの3か所くらいを目途にやっています。 報告書をつくるのは非常に時間がかかり、細かいことが多いので事前調査を十分にしておく必要があります。建物の大きさ、床下進入口の有無、床下の入れない場所の調査、図面の入手は必要です。文化財建造物は図面を造り直さず改修工事が行われている場合もあるので検査当日に建物全体の床下を正確に検査できるように詳細に調査しておく必要があります。大きな建物の場合は、グループに分けて平面図をもとに検査の範囲をマーカーで色分けして決めておきます。これをあいまいにすると報告書図面を作る時にあいまいになります。平成21年にぶっつけ本番でやった楽寿館では、床下に3分の2くらいしか入れなくて報告書を作る時に非常に困りました。事前調査、打ち合わせを良くしなかったことが大きな原因だと思っています。 報告書は、東京の白対協に送ると先生方に文章表現など細かくチェックを受けます。これまで指摘されたのはコメントでは、キクイムシはシバンムシ類、腐食は腐朽、虫害は木材食害性昆虫などと直されました。また、問題となるのは腐朽の関係です。赤色、黒色、変色腐朽という表現を書いたことがありますが、腐朽で認められているのは褐色、白色、軟腐朽の3つということで、私たちはシロアリのことはわかりますが、この辺のことになるとなかなか判定がつきにくいです。あと、緑色汚染は主に藻類であることなど表現を指摘されました。図面では方位を入れること、写真の番号と撮影方向、注釈を記入すること、床下進入口を明記すること、検査不能箇所を明記することなど、そして文章は、基本は「である」調で書きます。このようなことが、報告書を提出したときに指摘されたことです。 報告書の所見を書く時にはどうするかというと、まず、建物の立地の条件を明確に書くこと、次に建物の外周の状況、シロアリと腐朽の状況を説明する、次にその対策を書く、そんな感じで報告書を書いていくと良いと思います。指摘を受けたところを直して再度提出し、問題なければ、「蟻害・腐朽検査証」が発行され、最終的に静岡県の教育委員会に報告書を提出します。以上こんな形で報告書を作っています。 これまで静岡県協会で調査した25か所の報告書の内容をCDにしたものがあります。無料でお譲りしますので、今後、報告書を作るときには参考にしていただければと思います。◎静岡県文化財蟻害・腐朽検査報告書の作成に5年間携わって発表者 有限会社 ホームサービスダイチョー 大長 弘和 氏研究発表会の発表の詳細論文は、協会機関誌「しろあり」159号をご覧下さい。17 agreeable No.25 January 2013/1