ブックタイトルagreeable 第25号(平成25年1月号)

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概要

agreeable 第25号(平成25年1月号)

 高等なシロアリ科では、この2系列の発育が、初期の幼虫段階から雌雄で区別され、大きさの異なる職蟻や兵蟻に性が関与するようになります。階級分化を調節するフェロモン これら階級の割合は、集団ごとにほぼ一定しており、その調節には化学物質(フェロモン)が関与しています。 生殖虫や兵蟻を除去する実験から、過剰な同階級の分化を抑制するフェロモンの存在が示唆されていましたが、女王物質は松浦が2010年に世界で初めて特定し、女王だけでなく卵からも放出されることを明らかにしました。また、兵蟻の分化抑制には、兵蟻頭部に由来するフェロモンが関与する報告があり、幼若ホルモンを介しての分化が示唆されています。階級分化と防除 最近のヤマトシロアリの研究によると、野外で採集される生殖階級は、群飛由来の創設王と女王の他に、長寿命の創設王と複数の副女王で構成されること、及び副王で構成されるコロニーは、生まれる子の大半が有翅虫に分化することから、長く存続できないことが明らかになりました。 このことは、駆除残しの職蟻からコロニーが再生しても、長期的なコロニーへと発展しないことを意味します。 従って、ヤマトシロアリの完全な駆除には、王と女王のいる生殖中心の処理が必要であると結論されました。 イエシロアリでは、副女王と副王で巣が再生された記録のあることから、今後の研究が必要ですが、従来通り巣の処理が重要であることには変わりがないと思われます。 次回は、温暖多湿で有機物に富む巣やそこに集団で生活するシロアリが、なぜ菌類から無事に過ごせるか、また菌類をどのように利用しているかなどについて、述べる予定です。Kalotermes flavicollis (レイビシロアリ科)の単系列階級分化(Luscher,1952)擬職蟻 は静止脱皮、↓は退行脱皮を示す。ヤマトシロアリ通常の二系列階級分化(Takematsu,1992を改変)イエシロアリの無翅型副生殖虫イエシロアリの副女王ヤマトシロアリの兵蟻と職蟻兵蟻職蟻有翅虫(成虫)↑副生殖虫←第2ニンフ→前兵蟻→兵蟻↑↓副生殖虫←第1ニンフ→前兵蟻→兵蟻↑↓副生殖虫← 擬職蟻 →前兵蟻→兵蟻↑副生殖虫← 5齢幼虫→前兵蟻→兵蟻↑      4齢幼虫→前兵蟻→兵蟻↑3齢幼虫 ↑2齢幼虫 ↑1齢幼虫 ↑卵有翅虫(成虫)↑副生殖虫←第6ニンフ     ↑副生殖虫←第5ニンフ     ↑副生殖虫←第4ニンフ     ↑副生殖虫←第3ニンフ     ↑副生殖虫←第2ニンフ     ↑副生殖虫←第1ニンフ     ↑ 2齢幼虫 →↑1齢幼虫 ↑卵第4職蟻→前兵蟻 → 兵蟻 ↑第3職蟻→前兵蟻 → 兵蟻 ↑第2職蟻 ↑第1職蟻 ↑幼職蟻3 agreeable No.25 January 2013/1