ブックタイトルagreeable 第25号(平成25年1月号)

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概要

agreeable 第25号(平成25年1月号)

 平成25年1月17日には阪神淡路大震災から18年目を迎えました。また、3月11日には東日本大震災から2年となります。政府の地震調査会は、平成25年1月11日、長期評価による地震発生確率値について平成25年1月1日を基準日としたものに更新しました。これによると、東南海地震は今後30年以内の発生確率が70%程度から70?80%に上昇するなど、一部の地域でわずかに上昇しています。一方、東日本大震災以降の余震活動は依然活発で、首都圏の直下地震の発生もその影響を受けると言われています。国土交通省は昭和56(1981)年以前の耐震基準(旧耐震)の大規模な建物で現行基準の耐震性(新耐震)を有すると確認されているものが約40%にとどまることから、耐震診断の義務化を検討しています。新耐震基準は建築物の使用期間中に数回程度発生する、震度5強程度では損傷せず、極めて稀に発生する震度6強以上であっても、倒壊や崩壊せずに人命を守ることができる耐震性を求めています。鉄筋コンクリート造や鉄骨造などでは新耐震以降の建物の安全性はたかくなっていますが、木造住宅では必ずしも耐震性能が向上しているとはいえません。木造住宅では地震や台風などの水平力に抵抗する耐力壁の床面積当たりの長さが建築基準法で定められています。その必要な壁の量は確かに新耐震では多くなっています。また、建物のねじれによる損壊を防ぐためには、耐力壁をバランス良く配置することが大切ですが、そのバランスの良さを確認するために数値(偏心率)で安全性を確認することまで求められていません。そのため、新耐震であっても開口や間取りなどを優先して設計された木造住宅の耐震性は必ずしも明確でなく、揺れてみて初めてわかるのが実情です。木造住宅の耐震性能が本当の意味で担保されるようになったのは、平成12(2000)年の改正建築基準法以降の建物といえます。 減災のためには、耐震診断の実施とそれに基づく耐震改修が有効ですが、自治体によって補助金などの支援があるにもかかわらず、その実施率は低率にとどまっています。 耐震診断には建築士などの専門家が行う一般診断法と精密診断法だけでなく、一般の住宅の所有者や居住者向けに作成された「誰でもできるわが家の耐震診断」(国土交通省監修、一般財団法人日本建築防災協会編集)があります。この診断法は居住者が自ら診断することにより、耐震に関する意識の向上や耐震知識の習得ができるように配慮されています。 それでは、以下の手順に基づいて皆さんの住まいの耐震診断をやってみましょう。ただし、この「誰でもできるわが家の耐震診断」は平屋・2階建の戸建木造住宅(事務所や店舗併用住宅は含みます)で、在来軸組工法、枠組み壁工法(いわゆるツーバイフォー)で建てられた住宅を対象にしており、伝統的軸組構法や木質プレハブ住宅はこの診断法では耐震診断できないことになっています。 10項目の質問が設定されており、それぞれに該当していれば1、そうでなければ0という評点を与えます。この評点の合計値が10点であればひとまず安心ですが、念のために専門家に診てもらいましょう、8?9点は専門家に診てもらいましょう、7点以下は心配ですので、早めに専門家に診てもらいましょうという判定と今後の対策が指示されるようになっています。◎問診1/建てたのはいつ頃ですか? 新耐震基準の施行された1981年6月以降であれば評点1、それ以前、不明は評点0◎問診2/いままでに大きな災害にみまわれたことはありますか? 地震や風水害等過去の災害履歴によって建物がダメージを蓄積していることもあることから大きな災害に見舞われたことがなければ評点1、有る、不明は評点0◎問診3/増築について 増築する際に、既存部分の補修や増設部との接合が適切に行われていないと地震被害を受けやすくな大阪市立大学生活科学部 土井 正建築の知識第五回頑丈で長持ちする木造住宅木の住まい5 agreeable No.25 January 2013/1