ブックタイトルagreeable 第32号(平成26年10月号)

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概要

agreeable 第32号(平成26年10月号)

 全国各地には巨樹・巨木が多く存在します。九州・沖縄でもクスノキ、スギ、ケヤキ、サクラ、ガジュマルなどの巨樹・巨木があります。そのうち、今回はクスノキを取り上げてみたいと思います。全国のクスノキの巨樹・巨木のランキングは別表1の通りです。日本最大のクスノキは、鹿児島県蒲生町・蒲生八幡神社境内の『蒲生の大クス』で幹直径24m、高さ約30m有り、本殿から少し西南側(左側)に堂々とそびえています。(写真1) 他にも九州にはクスノキ巨木が多く3位『本庄の大クス』:福岡県築城町(写真2)、4位『川古のクス』:佐賀県武雄市(写真3)、5位『武雄の大クス』:佐賀県武雄市、6位『藤崎台のクス』:熊本県熊本市(写真4)、7位『衣掛の森』:福岡県宇美町、8位『柞原八幡宮のクス』:大分県大分市、社叢では福岡県・宇美八幡宮や太宰府天満宮、熊本市藤崎台や熊本城周辺、宮崎市・瓜生野神社などが有名であり、『国・県・市町村指定の天然記念物』として大事に保護されています。このように西日本・西南暖地には多くクスノキが見られますが、元は台湾、中国南部、ベトナムなどの暖地で生育していたものが鳥等の種子散布や人為的植栽により拡大したのではないかと思われます。 クスノキ(Cinamomum camphora)はクスノキ科ニッケイ属の常緑高木で、熱帯?温帯地帯に分布しています。耐寒性はさほど強くないので、日当りの良い、強風の当たらない場所が生育適地です。4月中旬?5月上旬に旧葉が落葉し、新葉と入れ替わり、4月中旬?6月中旬には茶?赤褐色の新葉が展開し、白い可憐な花が咲きます。樹の下に近寄ると全体に香ばしい匂いが伝わってきます。この匂いの主は樟脳(1,7,7,? トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2- オン)でクスノキの幹・枝をチップにし、水蒸気蒸留でチップから蒸気とともに油分を取り出し、水中で蒸気を冷やすと水面に結晶と油分が分離します。この結晶を生成して樟脳が出来上がります。以前は防虫剤・セルロイド原料としても盛んに製造されていましたが、プラスチック原料として石油が使用されるようになり、殺虫剤製造の拡大等で、生産は減少し、今は福岡県みやま市(内野樟脳)、宮崎県日向市(フジヤマスライサー)で少量生産されているだけです。 クスノキには樟脳(防虫剤成分)が含まれており、害虫には食べられないと一般の方々は思っておられるかもしれません。『タデ喰う虫も好きずき』との格言もあるように『楠喰う虫も好きずき』で喜んで?食べる虫も有ります。クスクダアザミウマ、クスグンバイ、クストガリキジラミ等の吸汁害虫、アオスジアゲハ、アオフトメイガ、クスサン等の食葉害虫が知られています。九州ではクスノキ巨樹・巨木だけではなく公園・庭園・街路樹等での吸汁・食葉も多々認められます。シロアリも生立木・木部と内樹皮等を食害します。 巨樹(天然記念物)は、特に重大な欠陥が見つからない限り剪定される事は少ないのですが、街路樹・公園・庭園に植栽されているクスノキは、自然樹樹木・病害虫についてその2樹木・病害虫防除コンサルタント 沖濱 宗彦写真1 蒲生の大クス写真4 藤崎台のクスノキ群 写真3 川古の大クス 写真2 本庄の大クスagreeable No.32 October 2014/10 10