ブックタイトルagreeable 第32号(平成26年10月号)

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概要

agreeable 第32号(平成26年10月号)

 イエシロアリとオオヒキガエルは、世界の侵略的外来種ワースト100に名を連ねていて、もともと小笠原諸島には生息していない外来生物です。ところがいまでは、小笠原父島は世界最大級のイエシロアリとオオヒキガエルの繁殖地域となっています。 イエシロアリの羽蟻は6?7月の夕刻ごろに群飛しますが、うまく群飛する時期に遭遇すると、街灯に飛来して舞う羽蟻とその羽蟻を食べるオオヒキガエルや、さらには、羽蟻を食べ過ぎたオオヒキガエルがひっくり返る様子までも観察できるようです。 そこでわれわれは、3名からなる羽蟻とオオヒキガエルを観察する調査隊(注1)を組織して、事前に予想した群飛時期である6月14日からの3日間、小笠原父島を訪問することにしました。 幸いにもこの予想が的中し、羽蟻を食べるオオヒキガエルの様子を観察することができましたので、この誌面を借りてその概要を紹介したいと思います。調査初日(6月14日) この日の天気は晴れまたは曇りでときどき小雨が降る程度でした(注2)。隊員らは午後7時頃から扇浦(注3)周辺にある街灯から調査することにしました(写真1)。 この付近の街灯ではどこも羽蟻が飛来して舞っていましたが、その中でも高密度に乱舞している街灯を選んで調査場所としました(写真2)。 その街灯の真下ではすでにオオヒキガエルがその柱に這う羽蟻を狙って群がっていました(写真3)。隊員らはオオヒキガエルの様子を詳しく観察するため、思い切って羽蟻の乱舞する空間域に突入することにしました。 実は、隊員らの服装はパーカーまたはカーディガン、ポロシャツを着ているだけで、羽蟻が服の中に侵入するのを防止する対策(以下、侵入防止対策と略します)を採っていなかったのです。そのため、無数の羽蟻が隊員らの襟や袖、裾などの隙間から服の中に侵入してしまい、隊員らは羽蟻が這うむずがゆさをすぐに感じてしまいました。 それでも千載一遇の観察機会を逃したくない隊員らは、そのむずがゆさを我慢して観察を続けると、今度は顔面に付いた羽蟻が、口や鼻、耳の孔にまで侵入してきたのです。撮影機器で両手が塞がっているので、鼻息や吐息で羽蟻を回避させるにも限界があり、やむなく一旦退避して羽蟻を払いのけ、またその空間域に入って観察することを何度か繰り返すはめになりました。 オオヒキガエルの食欲は旺盛であり、パ調査隊一同羽蟻を食べるオオヒキガエルの観察記読者からの投稿写真2 街灯に飛来して乱舞する羽蟻 写真1 扇浦周辺にある街灯写真3 街灯の柱に這う羽蟻を狙うオオヒキガエル15 agreeable No.32 October 2014/10