ブックタイトルagreeable 第32号(平成26年10月号)

ページ
20/24

このページは agreeable 第32号(平成26年10月号) の電子ブックに掲載されている20ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play

概要

agreeable 第32号(平成26年10月号)

 生きたシロアリを直接見たことがある方はどの位いらっしゃるでしょうか。被害にあわれた方はもう2度と見たくない生き物でしょうが、実際のシロアリの生態や習性、被害の実態などはあまり知られていないと思います。啓蒙・普及活動の一環として、日本しろあり対策協会事務局ではシロアリを飼育し、展示会等を通じて生きたシロアリを一般に公開してきました。昨年も、東京ビッグサイトで行われたジャパンホームショーに出展し、ヤマトシロアリやイエシロアリ、アメリカカンザイシロアリ、ダイコクシロアリを生きた状態で展示しました。多くの方はシロアリを間近で見ることに興味を示してくださり、大変好評(?)でした。 生きたシロアリは、会員の方に協力をお願いし提供していただいています。今年は5月に静岡県からヤマトシロアリを丸太の巣ごと送っていただきました。シロアリの蟻道の様子を観察できるよう飼育ケースに入れ、今年もジャパンホームショーに展示するためにまずはシロアリを取り出して引越しさせます。自然の中では生命力の強いシロアリですが、いざ飼うとなるととても管理が難しく、気温、湿度など注意を怠るとすぐに死んでしまいます。とりあえず丸太の中からシロアリを採取し、ほどよく湿らせたおがくずを敷き詰めたA4サイズほどの飼育用ケースの中にシロアリを放します。数週間から数か月後には蟻道ができ、観察できるようになります。(写真1) 今回採取したヤマトシロアリは主に働きアリ、兵アリで、羽アリは20匹くらいいました。ケースに入れて数日経つと全ての羽アリの羽が落ちていました。ここに落ち着いてくれたようです。明るいところが苦手で温かい場所が好きなシロアリのために、保温性のあるソフトケースに飼育ケースを入れて事務局の倉庫に置いておきました。ちなみにこの頃の気温は春から初夏にかけての時期だったので26℃くらいだったでしょうか。シロアリは乾燥に弱いのですが、水分が多すぎてもカビが発生してしまい、死んでしまう危険があるので当分は培地に含まれている水分のみにし、あとはシロアリに頑張って蟻道を作ってもらうのを待ちます。そして約2か月が経過したある日の事。久々にケースを取り出し観察してみたところ、大きさは1㎜もないような卵が、数十から百個くらい生まれていました。 卵の周りではシロアリの幼虫がうろうろしているのが見えました。シロアリは不完全変態なので、生まれたばかりでも立派なシロアリの形をしています。色は白というよりも透明に近い白でとっても綺麗でした。 事務局の女性職員が「かわいい?!」と歓喜し、自分のカメラで写真をとっている姿には兵アリが卵を守る。事務局 渡辺 由美子写真1 シロアリ飼育ケース。少し蟻道がみられます。agreeable No.32 October 2014/10 18