ブックタイトルagreeable 第32号(平成26年10月号)

ページ
6/24

このページは agreeable 第32号(平成26年10月号) の電子ブックに掲載されている6ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play

概要

agreeable 第32号(平成26年10月号)

 シロアリの生息調査は定期点検や的確な駆除処理を実施する上で非常に重要な項目です。調査対象は家屋全体になるものの、実際には家屋すべてを隈なく調査することは物理的にも無理ですから、調査ポイントを見極めた必要最低限以上の調査が実施されます。その精度の高さは経験と知識に比例しますが、調査を手助けしてくれる調査ツールを活用することでその精度はより高いものになります。また、非科学的な目視や打診調査では、施主に対して客観的な説明が難しく理解もされにくいことから、インフォームド・コンセントの充実のためにも「見える化」ができる科学的な調査ツールは求められています。 また、一方で住宅構造の多様化や外来シロアリの広がりに伴い従来の方法では十分な調査が実施できない場面が増えてきました。こういった現場では調査機器を活用することでうまく対応できることがあります。そこで今回は伝統的なものから最新のものまで調査機器についてお伝えいたします。シロアリ探査棒 正式な名称はさておき、長さ数十㎝?1m、直径1㎝ほどの強度の高い金属製の細い筒を斜め切断し、切断面を鋭利に仕上げたものです(写真1)。主にイエシロアリの巣の確認に使用されているもので、この棒を回転しながら土中や横から壁内に差し込み、引き抜いた際に採取できる破片から巣であるかどうかを判定します。巣の存在確認や位置、深さなどを探るのに使用されます。有効な利用にはそもそもの巣の在り処の予測、採取したものが巣材かどうかなどの知識が必要なため、使いこなすには経験が必要です。シロアリ探知棒はそれぞれ好みの太さ、サイズになるよう独自で手作りされているのが一般的で販売はされていません。昔のシロアリ技術者たちが考え出した調査ツールの一つだと言えます。デジタルカメラ 今やシロアリ調査には必須のアイテムでしょう。被害状況やシロアリの撮影だけでなく、目視できないような空間でもカメラと手を突っ込んで撮影し確認するといった方法をとられている方もいらっしゃいます。デジタルカメラの良い点は、気兼ねなく何枚でも撮影でき、かつその場で撮影した画像をすぐに確認できることです。フィルムカメラの時代には勿体なくて考えられなかったことです。そのため、床下等で撮影した画像をテレビ画面などに出力し、見せながら施主へ被害状況を説明されている方も多いです。施主にとっては実際の被害状況がわかり理解しやすいため、納得した上で防除作業が依頼できます。最近ではコンパクトで防水・防塵仕様、虫などの撮影に特化した接写機能や接写撮影に便利なLED ライトの付いた商品もあります。私の経験では業界内でのこのタイプのカメラの所有率は非常に高いと思われます。ファイバースコープ・ボアスコープ ファイバースコープ自体はそれほど新しいものではないので、以前から活用されているツールです。柔軟性のあるグラスファイバーを数万本束にしたもので、これにより画像を伝送します。壁内部の被害状況の確認など最小限の破壊(この場合は穿孔)で目視することができます。しかし、ファイバースコープは光量が弱く、ごく手前の対象物しか確認することができないこと、接眼部分のレンズを覗き込んで確認しなければならないなど若干作業性が悪い部分もありました。最近では、スコープの先端にLEDライトが搭載され、かつ映し出された画像が手元の液晶で確認できるボアスコープも多く販売されています(写真2)。映し出された画像は写真データとしてだけでなく、動画としても保存できるものもあります。ボアスコープの欠点はスコープの直径が太いものが多く、ある程度の大きさの穿孔が必要でした。そのため、使用できない場面も数多くありましたが、最近では直径が6㎜程度の商品もあるようです。ボアスコープは先端のLED がある程度の距離も照らしてくれるため、穿孔した内部を覗き込むような使い方だけではなく、小屋裏から壁内を覗き込んだり、天井裏の点検などに用いたりとあると何かと重宝します。環境機器株式会社 川端 健人シロアリ作業機器の話第4回シロアリの調査ツール写真1 シロアリ探査棒。シロアリ技術者手作りの一品ものagreeable No.32 October 2014/10 4