ブックタイトルagreeable 第35号(平成27年7月号)

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概要

agreeable 第35号(平成27年7月号)

的に評価することも、耐震診断と同様に重要であると考えられます。シロアリ食害の非破壊探知技術計測機器を用いてシロアリ食害を非破壊的に診断する技術3)は、表1のように、その目的と手法によって大きく4つに分類されます。目的として一つは、木材中でのシロアリそのものの活動を探知する技術です。実際に木材中でのシロアリの生息の有無を判断し、活動範囲を特定することを目的としており、これには、マイクロ波探知機(ターマトラック)やアコースティック・エミッション(AE ; Acoustic Emission)検出器が用いられ、それぞれシロアリの活動を検出する小型計測機器が現場でも利用されています。実用までは至っていませんが、現在研究段階であったり、現場用装置の開発段階であったりする技術に、半導体式ガスセンサやミリ波イメージング装置などもあります。シロアリの活動を探知する技術ですから、これらの手法は直接駆除につながることになります。そして、もう一つが、前述の地震における被害調査でも重要であると述べました、シロアリによって食害を受けた木材内部の空洞の検出と食害程度の診断技術です。超音波速度診断装置、電磁波レーダ探査装置はすでに小型計測機器が開発されていて、これらは空洞部分を検出するとともに、被害木材の密度低下も評価することが可能です。またX線CT装置も屋外での使用が可能となれば、かなりの精度での空洞部分の検出が期待できます。シロアリ食害によって、木材の強度がどの程度低下したのか、あるいはどの範囲まで食害が及んでいるのかを評価し、被害木材の交換や補強を行うための判断材料となります。一方、手法としては、アクティブ法とパッシブ法の2種類に分類されます(図1)。アクティブ法は、音波、超音波、電磁波、x線、熱など何らかのエネルギーを木材に発信し、内部状態の情報を含んだ反射または透過してきた信号を受信する手法です。人間ドックでいえば胸部エックス線検診や腹部超音波検診でしょうか。また、パッシブ法は、シロアリの活動によって発せられる物理的あるいは化学的な現象を、外部のセンサで検出する手法です。こちらの手法は、表1のように、空洞部分からは何も発せられないため、シロアリから発せられるものしか検出はできません。人間ドックでいえば聴診器による心音検査でしょうか。表1に紹介したシロアリ探知技術を中心に、基礎的なことから現場での利用までを解説していきたいと思います。また現場での実用を考えた場合の改良点などを、これを読まれた現場の技術者の方々からご意見をいただけると、筆者もより研究を進めることができるのではとの期待もしながら執筆にあたりたいと思います。参考文献1) 森 拓郎(2007):しろあり、No.148, 18-22.2) 森 拓郎、簗瀬佳之、村上了、香束章博(2008):しろあり、No.149, 11-19.3) 簗瀬 佳之(2012):“シロアリの事典”、吉村剛、他8名編、海青社、大津、276-285.シロアリ食害シロアリ食害送信音波超音波電磁波熱X線センサセンサセンサセンサ透過 受信受信反射(a)アクティブ法(b)パッシブ法図1 アクティブ法とパッシブ法シロアリの活動の探知シロアリ食害部(空洞部)の探知アクティブ法マイクロ波探知機(ターマトラック)ミリ波イメージング装置超音波速度診断装置電磁波レーダ探査装置X 線CT 装置パッシブ法アコースティック・エミッション検出器半導体式ガスセンサなし表1 シロアリ食害の非破壊探知技術写真3 ヤマトシロアリによるほぞ接合部の被害13 agreeable No.35 July 2015/7