ブックタイトルagreeable 第35号(平成27年7月号)

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概要

agreeable 第35号(平成27年7月号)

予防駆除剤は家屋の木部表面に処理する用途で用いられ、この薬剤に配合される防蟻成分はピレスロイド系とネオニコチノイド系の2種類の系統のものが使われています。前回では、ピレスロイド系防蟻成分をとり上げましたので、本稿ではもう一方のネオニコチノイド系防蟻成分(注1)をとり上げます。ネオニコチノイド系防蟻成分の防蟻効果ピレスロイド系防蟻成分では忌避効果を示すことを特徴としていますが、ネオニコチノイド系防蟻成分では忌避効果を示さないことを特徴としています(注2)。この特徴により予防効果や駆除効果が発揮されますので、これらの防蟻効果について以下に述べます。予防効果木部表面に薬剤を処理しますと、シロアリの食害から木材を保存する効果(以下、木材保存効果(注3)といいます)や家屋内へのシロアリ侵入を防止する効果(以下、蟻道構築防止効果といいます)が発揮されます(注4)。木材保存効果この効果を評価する試験を行いますと、薬剤を処理していない無処理の木材では、写真1のようにシロアリの被害を容易に受けますが、薬剤を処理することで写真2のようにまったく被害を受けなくなります。この薬剤には忌避性がないので、シロアリは薬剤処理された木材を齧り始めます。その際に薬剤が体内に取り込まれて歩行停止などの行動異常が現れ、その後すべての供試虫が死亡します(注5)。その結果、木部への被害が進行しなくなります。蟻道構築防止効果この効果については、薬剤処理された木片をイエシロアリの巣と餌場との間に配置させる方法で評価した試験例(注6)があります。最初に無処理の木片を水平に配置して蟻道が構築することを確認し(写真3)、その後に薬剤処理された木材に取り換えて、蟻道が構築されるかどうかを観察するという試験方法です。その結果、薬剤処理された木材の一部が蟻土や蟻道に覆われました(写真4)が、その後は蟻土や蟻道が伸長することなく、餌場にシロアリの死骸が観られました(注7、写真5)。このことからネオニコチノイド系防蟻成分では蟻道や蟻土が部分的に構築されることもありますが、コロニーの活性を弱らせることで蟻道構築防止効果が発揮されます。駆除効果木部に被害を与えているシロアリ(写真6)に薬剤を散布しますと、薬剤に直接暴露されたシロアリが致死する効果(以下、致死効果といいます)や薬剤が仲間のシロアリに伝播する効果(以下、薬剤伝播効果といいます)(写真7)が発揮されます(注8)。住化エンバイロメンタルサイエンス株式会社安芸誠悦薬剤の知識?ネオニコチノイド系防蟻成分の防蟻効果?第7回予防駆除剤について写真1 シロアリの被害を受けた無処理の木材写真2 シロアリの被害を受けていない薬剤処理木材写真3 蟻道が構築された無処理の木片agreeable No.35 July 2015/7 6