ブックタイトルagreeable 第35号(平成27年7月号)

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概要

agreeable 第35号(平成27年7月号)

致死効果薬剤を指定された濃度で直接シロアリに散布しますと30分前後で歩行停止し、その後徐々に死亡していきます(注9)。薬剤伝播効果この効果を評価する試験例については、以下の試験方法(注6)が報告されています。イエシロアリ職蟻3匹の体表に薬剤を一定量処理して健全なイエシロアリ職蟻500匹を入れたシャーレ内に放虫させ、1日後にどの程度のシロアリが薬剤に反応したかを観察します。その結果、ほとんどすべてのシロアリ職蟻が薬剤に反応して歩行停止状態を示しました。このことからこの薬剤では薬剤伝播効果に優れていることがわかります(注10)。このように、ネオニコチノイド系防蟻成分は木材保存効果や蟻道構築防止効果だけでなく致死効果や薬剤伝播効果も発揮されますので予防駆除剤として適する特徴を持っているといえます。注釈、補足説明注1: ネオニコチノイド系防蟻成分に該当する化合物は、クロチアニジン、イミダクロプリド、チアメトキサム、アセタミプリド、ジノテフランなどです。注2: 平成25年3月に住化エンビロサイエンス(株)で開催された商品説明会で配布された「防蟻剤の認定制度」に関する資料(近畿大学名誉教授榎彰郎)を参考としました。この資料によれば、ネオニコチノイド系防蟻成分は経口で体内に入り作用する薬剤のグループになります。注3: 木材保存効果は薬剤の認定取得に必要な性能であり、薬剤を処理した木材を耐候操作して写真8のようにシロアリに暴露させて被害程度を調べる室内試験と、処理した木材を写真9のように配置させて被害程度を調べる野外試験の結果が一定の性能を満たす必要があります。注4: 蟻道構築防止効果については、薬剤の認定取得に必要な性能ではありませんが、重要な防蟻性能の一つであると考えられます。注5: 薬剤の認定濃度で処理された木材にシロアリを接触させる試験をすると、30?60分前後で歩行停止などの行動異常が現れます。注6: 機関誌「しろあり」No.162 p15?20「予防駆除剤ガントナー20ECの防蟻防腐防カビ効果について」を参考にしました。注7: 餌場を詳しく調べると、その餌場に生きたシロアリは生息しておらず、その餌場を放棄しており、写真5に示すように蟻土が干からびて亀裂が入った状態になっていました。注8: 駆除性能を評価する致死効果や薬剤伝播効果などについては、取扱いメーカーが自社の方法でデータを取得しております。注9: このような試験を実施すると、薬剤の種類によっては10 分もしないうちに歩行停止状態になることもあります。しかし、製剤の違いなどでその反応時間は大きく変わります。注10: 同じような試験をピレスロイド系防蟻成分で実施すると、薬剤伝播効果はある程度認められますが、ネオニコチノイド系防蟻成分よりも劣る傾向を示すようです。写真4 部分的に蟻道・蟻土が構築された薬剤処理木片写真5 シロアリの死骸が観られ、蟻土が乾燥して亀裂が走っている餌場写真6 木部内のシロアリを散布しているイメージ写真7 薬剤伝播効果のイメージ写真9 野外試験による防蟻試験 写真8 室内試験による防蟻試験7 agreeable No.35 July 2015/7