ブックタイトルしろありNo.151

概要

しろありNo.151

が認められ，シロアリの食害を受けやすい材（材と ）と受けにくい材（材 ）が存在することが明らかとなった。また，乾燥条件の影響を見ると，材において， の摂食量が有意に増加している。一般にスギ心材の耐蟻性は 中 とされている ）が，本実験の結果は個体間で耐蟻性に大きな違いがある場合もあることを示している。そして，元来耐蟻性の低い心材では高温で長時間乾燥することにより，シロアリの摂食量を増加させることが明らかとなった。高温乾燥において，心材成分中のシロアリ忌避物質が分解または変質する可能性，あるいはカラマツ材のようにシロアリが好む物質が生成される可能性の つが考えられる。しかしながら，スギの蒸煮材においては，カラマツ蒸煮材のような極端な摂食量の増加は認められていない ）。このことから，今回のシロアリによる摂食量の増加は，材中に摂食促進物質が生成することよりも，材中の忌避物質の変質による影響が大きい可能性が考えられた。そこで，次に，含有される心材成分と耐蟻性との関係について検討した結果について述べる。スギ心材成分とその耐蟻性への寄与供試材のうち，特にシロアリによる摂食量の大きかった材 と最も小さかった材 の天然乾燥材の抽出成分について，耐蟻性への寄与に関する検討を行った。各材における抽出成分の収率は以下のようになった。すなわち，メタノール抽出物は材 ，とも ％（ ）で同じ収率であったが， ヘキサン抽出物収率は材 で ％（ ），材 で ％（ ）と， 倍以上のひらきがあった。材 と の各抽出物のヤマトシロアリによる強制摂食試験の結果を図 に示す。この図から明らかなように，どの抽出物もコントロールと比較してシロアリに対して摂食忌避作用を示した。特にこの作用が大きかったのは材 の ヘキサン抽出物で，材のそれと比較すると明確な差が認められた。前述したように，材 の ヘキサン抽出物が材 の倍以上あったことから，材 と材 の耐蟻性の違いは，含まれる ヘキサン抽出物の量に依存するものと推察された。そこで，材 の ヘキサン抽出物中の抗蟻性成（ ）020406080100質量減少率（%）HexⅠ HexⅡ MeOHⅠ MeOHⅡ コントロール試料図 材 および のヘキサン抽出物（ ）とメタノール抽出物（ ）を含浸したペーパーディスクのヤマトシロアリによる強制摂食試験で示された質量減少率OHOHOHOHHOHOフェルギノール セクイリンＣOHOHOHHOアガサレジノール図 ヘキサン抽出物の主要成分の構造