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しろありNo.151

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概要

しろありNo.151

ストではこれらは として分類されて,どう対策をすべきかが示されている。ロンドンの自然史博物館の昆虫の部屋には,台所セットがあり,戸棚を空けるとどんな虫がいるのか,残り物の小麦粉にはどんな虫が発生するか等が模型でわかりやすく説明されているが,ほとんどは食品害虫である(写真 )。日本にも食品害虫が家庭にも広く広がっていると思われるが,新聞の家庭欄にもゴキブリや蚊のようには対策が示されていることはまずない。ノシメマダラメイガはどこの家庭にも生息する筆者は長年,食品に発生した害虫の検査を行ってきた。虫だけの同定依頼もあるが,加害物がそのまま届き,いつ頃,どこで混入したか,どのようにして加害が始まったかの判定を依頼されることも多かった。ノシメマダラメイガが一番多いが,どう考えても消費者宅で混入したと思われるものも多かったが, 年代の終わり頃までは,一般家庭にも広く分布しているとは思わなかった。幸いにもこの頃,米国で,マダラメイガ亜科の性フェロモンが製剤化(バイオルア)されたので,早速これを取り寄せ防除への応用を試みたところ,成虫発見のセンサーとしてきわめて優れていることを発見した , )。高山 )らは静岡市の 軒の一般住宅にノシメマダラメイガのフェロモントラップを設置し,発生消長を調べた際,外周でも捕獲されたことを報じている。そこで一般家庭内外には普遍的にいるのであろうかということを確認するため,静岡市とその隣接市の軒の一般住宅に,床置型粘着トラップ(図 )にフェロモンの徐放性ディスクをとりつけ,台所の食器棚の上或いは冷蔵庫の上に 枚, 年 月の日間配置した。同時に建物から はなれた建物廻りのガレージ,ベランダ,物置などの雨のかからないところにも設置した。結果,ノシメマダラメイガ或いはスジマダラメイガの捕獲のあったトラツ( )プは室内で 枚中 枚,屋外で 枚に捕獲されていた。 トラツプの 日間の平均捕獲数は室内で頭,屋外では 頭であつた。これは食品工場と比べても少し上回っていた。この結果を 年のペストロジー学会で報告したところ,専門家の間から ノシメマダラメイガは食品やその残渣に発生するもので,屋外で例えばベランダに食物くずがあったとかが原因であり,野外でそんなに居るとは到底考えられない という意見が出された )。筆者も当時の常識から考え,この結果に多少の疑問を感じ,試験住宅の廻りをすべてみて廻ったが,明らかに食物残渣というものは見つからなかった。これは静岡だけの結果なのか,全国的なものなのかを調べるため,年の 月にかけ,全国 件の一般住宅にて,再び同じようにフェロモントラップの 日間の配置を依頼した。その調査住宅の全国分布を図 に示した。結果は, 軒中室内では 軒で,屋外では軒で捕獲があった。 トラップ 日間の平均捕獲数は室内で 頭,屋外で 頭であった )。静岡の 軒と合わせると,全国 軒の一般住宅の室内では 軒( %)で捕獲があり,屋外では 軒( %)に捕獲が見られた。これによりノシメマダラメイガは広く日本の住宅には生息すると判断した )。一つ考えられるのは屋内で捕獲の多い住宅の周辺も捕獲が多いのではないか?逃げ出しているのではないか?という疑問である。内部の捕獲数と外図 山型フェロモントラップの構造図 住宅内外のノシメマダラメイガ汚染調査を行った全国 都市 戸の住宅数の分布( )