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しろありNo.151

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しろありNo.151

( )しろあり 年 月は じ め にアルゼンチンアリ は,南米原産のアリであるが, 年,著者によって初めて日本での生息が確認された )(写真 )。以降,その優れた環境適応能力と旺盛な繁殖力によって生息域を広げ,今では西日本にとどまらず関東地方にまでも勢力を拡大しつつある(図 )。本種は,家屋に侵入して不快感を与えるだけでなく,農作物の害虫であるアブラムシ,カイガラムシなどを保護し,その防除に障害をもたらすことが知られている。さらには侵入地の在来種を駆逐し置き換わることで,生態系に重大な影響を及ぼすなど,深刻な問題を持った“重要害虫”である。今回は,本種の生態やその被害,分布状況,そして防除法などについて紹介する。形態的特徴アルゼンチンアリはカタアリ亜科に属し,働きアリの体長が 程度の小型種で,体色は淡褐色 褐色をしている(写真 )。本種の働きアリの特徴はルリアリ属 に似るが,日本産のルリアリ とは前伸腹節後背縁の角度や,体色,触角の長さなどで区別できる )。分 布アルゼンチンアリは,ブラジル南部からウルグアイ,パラグアイ,アルゼンチン北部に亘る地域を原産地とするアリである。本種は,人間の移動に付帯して分布を拡大する典型的な放浪種である。現在まで,北米,南アフリカ,オーストラリア,ヨーロッパの地中海性気候地域を中心に侵入・定着し,さまざまな問題を引き起こしているが, 年に広島県廿日市市で発見されるまでは,日本を含むアジア地域における採集例はなかった )。本種の日本への侵入経路は明らかではないが,廿日市市で最初に発見された場所が港の側であったこ研究発表会アルゼンチンアリの現状と防除法杉 山 隆 史写真 アルゼンチンアリ の働きアリ(著者撮影) 図 アルゼンチンアリの国内分布( 年 月現在)