ブックタイトルしろありNo.152

ページ
31/66

このページは しろありNo.152 の電子ブックに掲載されている31ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

しろありNo.152

ブックを読む

Flash版でブックを開く

概要

しろありNo.152

( )しろあり年月はじめに現在の木造家屋においては,床下が高湿化すると土台や根太に用いられている木材の含水率が上昇し,腐朽・蟻害などの生物的劣化が進行するため,それらの部材を乾燥状態にしておくことは住宅の耐久性向上に必須である。そして,室内空間や床下の調湿材として,木炭やセピオライトなどとともに,天然ゼオライトの原石破砕物が使われるようになってきている。一方,木造住宅における化学物質汚染と,それによって引き起こされるアレルギー疾患などの増加が問題となり,化学物質に対する危険意識が消費者の間で高まっている。シロアリ防除においても,最近ではレスケミカル(省薬施工)やケミカルフリー工法という新しい防除技術の開発が期待されている。薬剤を使わずにシロアリの侵入を阻止する方法には,アメリカの(玄武岩の破砕物)),オーストラリアの(花崗岩の破砕物))に代表される岩石破砕物や小石などの粒子を用いた物理バリア工法がある。これは,ある一定の粒子径範囲をもった粒子を層状に住宅の周囲土壌に敷設することで,地下からのシロアリの侵入を防ぐ工法であり,シロアリの貫通を阻止した粒子よりも小さい粒子はシロアリの口器で運搬され,大きい粒子は粒子どうしの隙間をシロアリが通り抜けることによりバリア層が貫通される。さらに,シロアリの粒子層の貫通に及ぼす粒子形状及び表面性状の影響について検討した結果,粒子が球形に近いほど,また粒子の表面が滑らかなほど,貫通阻止能力が高いことが報告されている)。本稿では採石場から排出される粉末ゼオライトを造粒して粒子材料を製造し,床下環境改善に寄与する吸放湿性と,物理バリアとしてのシロアリ貫通阻止能力を同時に有する粒子材料の有効性)について紹介する。実験方法粒子材料は,ゼオライトの粉末を原料とし,混練造粒機を使用して攪拌造粒法によって製造した。ゼオライトは多孔質で強度が低く,造粒すると扁平になるため,ゼオライト粉末に,ポルトランドセメントを%混合し,水を滴下して,粒子径を目安に造粒した。吸放湿性試験は, 調湿建材の吸放湿性試験方法第一部湿度応答法(周期定常吸放湿試験) に準拠して行った。粒子径のゼオライト造粒材料は, の乾燥機内で時間乾燥した後,乾燥質量を計測してから,温度,湿度% に設定した恒温恒湿槽内に設置し,質量が恒量に達するまで吸湿させて養生した。次に,温度をで一定とし,湿度% での吸湿と% での放湿をそれぞれ時間行うサイクルを回繰り返したときの試料質量を計測した。粒子層のシロアリ貫通阻止能力は, 字型のガラス円筒容器の片側に設置した粒子層に対するシロアリの貫通の有無で判定した。試験にはイエシロアリ( )の職蟻頭と兵蟻頭を用いた。ゼオライト造粒材料は標準ふるいを用いて, ,, , の粒子径にふるい分けし,また対照試料として砂壌土(粒子径以下)を用いた。図のように,ガラス円筒容器は,内径,長さの透明な円筒形ガラス容器本の底部を内径,長さの透明ガラス管で連結した字型ガラス容器を用いた。容器の片方の円筒に砂壌土を底辺からの高さまで詰め,もう一方の円筒には研究トピックス粉末ゼオライトを用いた造粒材料のシロアリ物理バリア性能と吸放湿性簗瀬佳之