ブックタイトルしろありNo.153

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しろありNo.153

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概要

しろありNo.153

だきたい。顕微鏡観察標本は双眼実体顕微鏡下( )で詳細に観察した。また,念のためにシロアリの専門家である森本桂博士(九州大学名誉教授)に同定確認をお願いした。確認状況筆者の山本は, 平成年度小笠原諸島におけるシロアリ対策基礎調査の調査員補助の名目で,小笠原群島に来島する機会に恵まれた。そのため,東京と父島を往復するために,おがさわら丸に回乗船することとなった。すなわち, 年月,日(竹芝二見港)及び月, 日(二見港竹芝)の期間である。前述したように,本船の片道の航行時間はかなりの長時間になる。筆者は竹芝から乗船後,暇を持て余して船内を散策することにした。そしてその散策途中の甲板上で,筆者は偶然にも生きている小型のコガネムシを発見したのである。見たところ,それは明らかにセマダラコガネ( )であった。本種は本土と父島でも記録があるが,小笠原では移入種と考えられている)。発見した瞬間,筆者は船舶が昆虫類を運ぶという事例を初めて意識するとともに,他にも昆虫類が船内に紛れ込んでいないか興味を抱いたので調査を開始することにした。調査を始めてからものの分も経たないうちに,すでに死んでいたシロアリの有翅虫頭を甲板(写真)で発見することができた。船内をかなり念入りに調査を行ったにもかかわらず,父島行きの船では追加個体を得ることはできなかった。復路でも同様に甲板上を調査した結果,合計頭ものシロアリ(有翅虫)を採集したが,いずれも採集時には死亡していた。帰宅後,これらの個体について調べた結果,すべてイエシロアリであることが判明した。考察以上,筆者がおがさわら丸船上でイエシロアリを採集した状況について簡単に報告した。今回採集した個体はすべて採集時に死亡していたので,仮に筆者によって拾得されなかったとしても( )図本航海時のおがさわら丸航路概略図写真イエシロアリを採集した甲板