ブックタイトルしろありNo.154

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しろありNo.154

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概要

しろありNo.154

化している)。さらに, 候補物質として注目されている有機臭素系難燃剤(ポリ臭素化ジフェニールエーテル)の汚染研究が最近になって始まり,この物質の大きな発生源は先進国だけでなく途上国にも存在しグローカルな汚染を引き起こしていることが魚介類や鯨類の分析で明らかとなった(鯨類の分析例を図に示す))。上述した発生源の調査に加え,地球規模での分布やゆくえに関する研究)も併せて実施し, による汚染は南極や北極を含む地球の隅々まで広がったこと,海洋とくに冷水域の海水はこの種の物質のたまり場として機能することなどを,大気,水,生物試料の分析結果より示唆した。また,深層水や深海生物の分析により, の汚染は南極や北極などの遠隔地だけでなく,海洋の深層にまで到達したことを実証した。さらに,ダイオキシン類の広域汚染についても調査を実施し, は大気や水により輸送されやすい地球汚染型の物質であるが,やは局在性が強いため地域汚染型の物質であることをカツオを生物指標にした研究で示した。また, やと同様に,ダイオキシン類の汚染源も北半球に集中していることがアホウドリ試料の分析により明らかになった(図)。さらに,アジア途上国の調査もすすめ,都市郊外に遍在するゴミ集積場にダイオキシン類の大きな発生源が存在することを,土壌やヒト母乳の分析により立証した。このように多数のが多様な環境試料や生物試料から検出された事実は,化学分析の技術が急速に進歩したことに加え,この半世紀の間に化学物質の生産や利用が著しく増大し,その環境汚染も世界中に拡大したことを示している。また,気温の高い熱帯・亜熱帯地域で,今なお一部の系殺虫剤の利用が継続していることも要因としてあげられる。これまでの研究を通して,熱帯・亜熱帯地域における化学物質の無秩序な利用は地球規模の環境汚染を引き起こしやすいこと,海はこの種の物質の大きなたまり場として機能すること,とくに冷水域はの最終的な到達点となることなどが明らかとなった。すなわち, の発生源と到達点は異なること,したがってその影響も予期せぬところで発( )INDIAHONG KONGJAPANPHILIPPINES6000 2600200 ng/g??????????????????????????????Kajjiiwara ett all.. (2006)図アジア地域で採取した小型ハクジラ類の蓄積濃度