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しろありNo.155

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概要

しろありNo.155

( 22 )で健全な建物ではこのキラーパルスに共振しない。しかしながら,補強金物などで緊結されていない接合部では変位が大きくなり,接合部の破壊が生じて変形が増大し,その結果,固有周期が長くなってキラーパルスと共振して倒壊に至ることになる。接合部を強化し,健全に維持すればキラーパルスによる被害は少ないものと考えられる。壁配置に偏りがある,補助金物ないなど,耐震性の低い建物で,メンテナンスが不足していたなど,いわゆる老朽化した築25年以上の被害が顕著である。2)住宅金融公庫融資住宅の被害はわずかであり,適切な設計・施工による耐震性の向上は有効である。3)築年数の新しい住宅においては,設計・施工上の不備があったり,狭小間口や南面大開口で耐力要素が偏在したりして偏心しやすい構造のものの被害が大きい。さらに,接合部の補強金物がなく,筋かいの脱落や柱脚部の抜けがある,構造部材の蟻害・腐朽による欠損があるなどの建物の被害が大きい。4)構造部材の蟻害・腐朽による接合部の欠損などがあった全壊家屋の人的被害が大きい(写真1~4)。 筆者らが行った神戸市東灘区東部地域(図2)の709棟の木造住宅調査では,図3に示すように30%~ 65%の全壊被害が見られた2)。なお,[a]の地域は震災の帯と言われ,震度7を記録している地図1 地震による家屋被害数と死者数の関係1)写真2 1階が大開口で耐力要素の偏在写真1 補強金物のない短いほぞの柱頭部 図1に明治以降の死者20名を超える地震災害における倒壊,焼失および流出により全壊した家屋棟数と死者数の関係を示す1)。これによると●印で示される1948(昭和23)年の福井地震以前の地震災害では,全壊棟数が増えると人的被害も増えることがわかる。一方,建築基準法の施行以降になる○印の1952(昭和27)年十勝沖地震以降の地震災害では全壊数が増えても人的被害はほとんど増加せず,建物の損傷を防ぎ,人命と財産を守る目的で制定された建築基準法が機能しているものと考えられる。しかしながら,△印の1995年兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)では,全壊棟数に比例して人的被害も増大する建築基準法制定以前の被害の様態になっている。4. 1995(平成7)年兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)における木造被害の特徴 阪神・淡路大震災による木造被害についての数多くの調査研究から,次のような木造被害の特徴が知られている。1)屋根・壁が重い,無筋の基礎,耐力壁が少ない,