ブックタイトルしろありNo.155

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しろありNo.155

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しろありNo.155

( 33 )る。また辺ぴで狭隣な場所に点在する概して小規模な教会は,信徒たちが弾圧を避けて潜伏し,連綿として信仰を継承してきたその地区に建ち,かつ彼らが貧しい暮らしにもかかわらず自らの財産と労力を捧げ,信仰の証として造り上げたことを如実に物語っている。② 教会群と関連資産は,一部国立公園などに指定された地域の特色ある自然地形との緊密な関係のもと,島々の入江地や海に面した高台斜面などに農漁業を生業として造り上げた集落景観と一体となり,長期の潜伏からの復活という高い精神性を背景とした地域住民の生活と精神の拠り所として,優れた文化的景観を形成している。③ 長崎の教会群は,広義には当時世界的な潮流であったゴシック・リバイバル期に属するが,西洋の様式技法をもたらした外国人神父の指導と鉄川与助など日本人大工棟梁の伝統的技術に基づく創意工夫によって建設された。そこには西洋と東洋の建築文化が見事に融合した実に多用な展開と高い造形意匠の達成を見ることができる。また内部装飾に椿の模様を取り入れるなど地方的特色もあり,この意味では世界的に珍しい独特な構造物群遺産となっている。(世界遺産暫定一覧表追加資産に係る提案書 資産名称:?長崎の教会群とキリスト教関連遺産? 長崎県他作成 引用)3. 遺産候補教会群の位置 遺産候補とされている教会群の位置を図1~2に示す。教会群は,辺ぴな場所に点在しており,弾圧を避け潜伏し,信仰を継承してきたことを物語っている。4. 教会の景観 教会の景観を写真1~2に示す。これらの教会は,国立公園内にある入江や海に面した高台斜面などに建ち,農漁業を生業として造り上げた集落景観と一体となって,素晴らしい文化的景観を形成している。5. 教会の構造 教会の構造を写真3~4に示す。これらの教会群は,外国人神父の指導と日本人大工棟梁の創意工夫により,西洋と東洋の建築文化が融合した,世界的に珍しい独特な構造物遺産となっている。6. 教会群の保存維持 これらの教会群を,将来にわたって保存維持するため,保存管理が重要となっている。今回,長崎県は教会群の保存管理作業として,白蟻対策事業を実施した。その経過と,施工内容を紹介する。図2 遺産候補教会群の位置 五島図1 遺産候補教会群の位置 長崎市他