ブックタイトルしろありNo.155

ページ
4/52

このページは しろありNo.155 の電子ブックに掲載されている4ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

しろありNo.155

ブックを読む

Flash版でブックを開く

概要

しろありNo.155

?報 文? 木質材料に係る揮発性有機化合物(VOC)問題の変遷井上明生 ( 1 )しろあり No. 155, pp.1―6. 2011年1月1. はじめに 化学物質の取り扱いについては世界的に管理強化がなされてきている。揮発性有機化合物(VOC)については,我が国では特に?シックハウス症候群?との関連で規制並びに様々な諸施策が講じられてきてきた。ここでは,筆者が多少なりとも関与した木材・木質材料に関連する主なVOC 問題の変遷について解説する。2. 厚生労働省の室内濃度指針値 1997年に我が国で初めて化学物質(ホルムアルデヒド)の室内濃度指針値が策定された。現在,我が国には13物質の室内濃度指針値が策定されている(表1)。なお,総揮発性有機化合物(TVOC)については,人への健康影響が明らかになっていないことから,単に室内空気の汚れの指標のひとつという扱いで,“暫定目標値”となっている。室内濃度指針値の意味は,厚生労働省の?シックハウス(室内空気汚染)問題に関する検討会中間報告書―第8回~第9回のまとめ?1)によれば,以下のようになっている。 ① ?指針値は,ヒトがその濃度の空気を一生涯にわたって摂取しても,健康への有害な影響は受けないであろうと判断される値を算出したものである。? ② ?現状の研究では指針値が策定された物質と体調不良との間に明確な対応関係は証明されていない。? ③ ?指針値の設定はその物質がいかなる条件においてもヒトに有害な影響を与えることを意味するものではない,という点について,一般消費者をはじめ,関係業界,建築物の管理者等の表1 厚生労働省の策定した化学物質の室内濃度指針値化学物質名室内濃度指針値備考(筆者注)ホルムアルデヒド100?/?(0.08ppm)超揮発性有機化合物(VVOC)アセトアルデヒド 48?/?(0.03ppm)トルエン260?/?(0.07ppm)揮発性有機化合物(VOC)キシレン870?/?(0.02ppm)エチルベンゼン3,800?/?(0.08ppm)スチレン220?/?(0.05ppm)テトラデカン330?/?(0.04ppm)フタル酸ジ-n- ブチル220?/?(0.02ppm)可塑剤フタル酸ジ-2- エチルヘキシル120?/?(7.6ppb)パラジクロロベンゼン240?/?(0.04ppm)防蟻剤,殺虫剤クロルピリホス 1?/?(0.07ppb)ダイアジノン0.29?/?(0.02ppb)フェノブカルブ 33?/?(3.8ppb)総揮発性有機化合物量(TVOC) 400?/? 暫定目標値