ブックタイトルしろありNo.155

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しろありNo.155

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しろありNo.155

( 42 )れており,大きな被害と思われるが,柱などに蟻道が付着しているだけで,加害は少ない。建物全体の被害量(食害量)が少ない。柔らかい湿った木材,畳を求めて蟻道が多数形成される。(写真11)⑤ 生息虫は,普通の職蟻より一回り小さい若い職蟻が多い。(写真12,13)6. 小さい若い職蟻(若職蟻)の区別 イエシロアリの階級分化を図1に示す。この階級分化から,イエシロアリの職蟻形成は,?卵→ 幼虫→ 老幼虫→ 職蟻? の過程がわかる。しかし,小さい若い営巣の被害現場では,前項で示すように,普通の職蟻(老職蟻)より一回り小さい若い職蟻が多い。この一回り小さい若い職蟻を,普通の職蟻と区別するため,若職蟻とし,普通の職蟻を老職蟻とする。若職蟻を含む職蟻の階級分化は次のように表せる。 ?卵→ 幼虫 → 老幼虫 → 若職蟻 → 老職蟻 ? 7. 若職蟻と老職蟻の区別 若職蟻と老職蟻を区別するため,外観の違いを過去の文献を参考に分類した。若職蟻と老職蟻の分類を表3に示す。引用:しろありの知識 中島 茂,森 八郎著   台湾総督府第3回白蟻調査報告書 大島正満表3 若職蟻と老職蟻の分類写真11 細い柔らかい蟻道,構造材に被害なし写真12 畳を加害し腹部が黒い小さい若い職蟻写真13 ベイトボックスに集まった小さい若い職蟻8. 若職蟻の生態 若職蟻の生態を,若い小さな営巣の被害状況,ベイトボックス内職蟻挙動等から,次のように判断した。① 卵から幼虫までは,営巣中心部で職蟻により育てられる。② 若職蟻の口器は,未発達であり,硬い木材は好まない。③ 若職蟻は自立し,営巣近くで,水分が多く柔らかい木材部(腐朽部)に移動し,その場所で水分と養分を摂取し成長する。(若職蟻の自立成長過程)④ 若職蟻は成長に伴い,老職蟻として女王に統率される。⑤ イエシロアリ営巣初期の年数と階級分布モデルを推定作成した。表4に示す。年数の若い小さな営巣ほど職蟻に占める若職蟻の比率が高い。孵化後月数体長触角節数若職蟻 2~3ヶ月3~4㎜ 13 ~ 14 節老職蟻4 ヶ月~ 5㎜ 15 ~ 17 節