ブックタイトルしろありNo.155

ページ
5/52

このページは しろありNo.155 の電子ブックに掲載されている5ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

しろありNo.155

ブックを読む

Flash版でブックを開く

概要

しろありNo.155

( 2 )当事者には,正しく理解頂きたい?。 以上のように,VOC が室内濃度指針値を超過したからといって直ちにシックハウス症候群になるというわけではないということを,上記検討会自体が注意喚起を行っている。ただし,新築住宅のVOC濃度が指針値を大幅に超過すると訴訟問題にまで発展するケースがあるので注意が必要である。3. 建築基準法によるシックハウス対策 2003年7月に改正・施工された建築基準法によりシックハウス対策に係る規制が開始された。その内容は,①クロルピリホスの使用禁止と,②ホルムアルデヒド発散建築材料の使用面積制限である。ホルムアルデヒド発散建築材料については,居室の種類及び換気回数に応じて内装の仕上げに使用するには面積制限を受けるというものである。ただし,現在,製材及びJAS・JIS 規格でホルムアルデヒド放散量が最上位区分であるF ☆☆☆☆基準に適合する木質建材は,建築基準法の面積制限を受けず無制限に使用可能となっている(表2)。3.1 建築基準法における規制対象外基準値の考え方 建築基準法では,放散速度(単位面積・単位時間当たりの化学物質発生量)により基準値が定められている。放散速度と室内濃度とには以下の関係がある。  E=CQ/S=CN/L・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・① ここで,E:放散速度(㎎ /㎡・h),C:気中濃度(㎎/?),Q:換気量(?/h)     S:建材表面積(㎡),N:換気回数(1/h)     L:試料負荷率(㎡/?)(室内容積に対する建材の面積) 建築基準法における規制対象外となる放散速度基準値(0.005㎎ /㎡ h)は,上式の気中濃度C に厚生労働省のホルムアルデヒド室内濃度指針値(100? /?=0.1㎎ /?)を代入し,さらに,換気回数N に0.5回/h,試料負荷率L に10㎡/?を代入すると得られる。なお,試料負荷率10㎡/?の考え方は下記による2)。 ① 建材が室内全面(床面積の10倍程度)使われる。 ② さらに,家具が床面積の3倍程度使われる。ただし,建築基準法では,家具の放散速度については,F☆☆☆相当としたため,これをF☆☆☆☆に換算すると床面積の13倍程度になる。 ③ 合計すると,F☆☆☆☆相当の材料として床面積の23倍程度使われる。 以上の条件を,天井高さ2.3mの8畳間で計算すると試料負荷率はほぼ10㎡ /?となる。   床 面 積=3.6×3.6=13(㎡)  室内容積=3.6×3.6×2.3=29.8(?)  建材表面積=床面積×23=13×23=299(㎡)  試料負荷率=建材表面積/ 室内容積=299/29.8=10(㎡ / ?)3.2 建材のJAS・JIS 規格と建築基準法の関係 木質建材のJAS・JIS 規格におけるホルムアルデヒド放散量の試験方法(通称ガラスデシケータ法)では,密閉容器中に設置された蒸留水に吸収されるホルムアルデヒド量が測定され,基準値は水中濃度により規定されている。一方,建築基準法では,居住環境中のホルムアルデヒド室内濃度(気中濃度)を直接的に設計可能な放散速度(単位時間・単位面積当たりの放散量)によって基準値が定められている。しかし,放散速度が測定可能なJIS 小形チャンバー法を実施するためには高額の専用装置が必要であり,また,1週間以上の日数がかかる等の理由に表2 建築基準法における建築材料の区分と内装制限建築材料の区分 ホルムアルデヒド放散速度(㎎/㎡ h) 内装仕上げの制限 JAS・JIS の区分・表記JAS・JIS の基準値第1種発散建築材料0.12超使用禁止 F☆ 5.0㎎/L 以下第2種発散建築材料0.02 ~0.12 使用面積制限(床面積の0.3倍程度まで使用可) F☆☆ 1.5㎎/L 以下第3種発散建築材料0.005~0.02 使用面積制限(床面積の2倍程度まで使用可) F☆☆☆ 0.5㎎/L 以下規制対象外0.005以下  制限なし F☆☆☆☆ 0.3㎎/L 以下