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しろありNo.155

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概要

しろありNo.155

( 3 )より,品質管理的な試験も兼ねている木質材料のJAS・JIS 規格の試験方法としては必ずしも適切とはいえない。一方,森林総研では,既に,木質材料のJAS・JIS 規格試験による測定値から実際の室内のホルムアルデヒド気中濃度を予測するための換算式を開発していた。その換算式について,国土交通省は実大住宅を用いた実験により検証を行い,その妥当性を確認した。その結果,換算式が建築基準法シックハウス対策関係技術的基準の作成根拠に採用され,木質材料のJAS・JIS 規格が建築基準法に引用されることとなった3)。技術的基準の作成根拠として採用された換算式は下記のとおりである2)。  C=(0.158D/6+0.017)×{2(/ 1+Q/S)}×1.09(t -23)×{(55+h)/100}    C:気中濃度(ppm), D:JAS のホルムアルデヒド放散量(デシケータ値)(㎎ /L)    Q:換気量(? /h),S:建材表面積(㎡),t:温度(℃),h:湿度(% RH) 建築基準法で規制対象外となるF ☆☆☆☆の基準値は,放散速度として0.005㎎ /㎡ h 以下となっており,JAS・JIS 規格によるF ☆☆☆☆の基準値は,水中濃度で0.3㎎ /L 以下となっている。上の換算式に,建築基準法の諸要件とJAS・JIS 基準値である0.3㎎ /L を代入すると,放散速度0.005㎎ /㎡ h が得られる。このことが,木質建材のJAS・JIS 規格におけるF ☆☆☆☆製品が建築基準法の規制対象外として無制限に使用可能とされた根拠になっている。4. 4VOC の自主表示制度 厚生労働省が室内濃度指針値を策定している13化学物質のうち,現在規制が行われているのは,建築基準法が対象としているクロルピリホスとホルムアルデヒドの2物質のみである。しかし,その他の化学物質についても安全性に関する表示制度の確立を望む声が多く寄せられてきたため,2008年4月1日に,?建材試験センターが主催する?建材からのVOC 放散速度基準化研究会? により?建材からのVOC 放散速度基準? が制定され4),トルエン,キシレン,エチルベンゼン及びスチレン(4VOC)の放散速度基準値(4VOC 放散速度基準)が示された(表3)。ここでの試料負荷率の考え方は,建築基準法と根本的にほぼ同じであり,室内全面+床面積の3倍程度建材が使われることを想定し,3.4(㎡ /?)とされている。したがって,①式のC に室内濃度指針値,換気回数N に0.5,試料負荷率Lに3.4を代入すると,4VOC の放散速度基準値が得られる。 建材試験センターの?建材からのVOC 放散速度基準? 制定を受けて,?日本建材・住宅設備産業協会(建産協)は,2008年10月1日より?化粧板等のVOC 放散に関する自主表示(トルエン・キシレン・エチルベンゼン・スチレン)制度?(業界団体による自主制度)を開始した5)。同制度は,書類審査により,4VOC 放散速度基準に適合する製品に?4VOC 基準適合? という統一マークを表示するものである。なお,?4VOC 基準適合? という表示マークは商標登録されている。同自主表示制度において,製材及び木質材料の一次加工品(接着剤のみを用いて製造された木質材料で,塗装や印刷紙貼り等の二次加工を行っていないもの)は,4VOC の放散が4VOC基準以下と認められることになった(表4)。その根拠としては,?木質建材からのVOC 証明・表示研究会報告書?(日本住宅・木材技術センター)6)が引用されている。概要は下記のとおりである。対象VOC 略記号放散速度基準値(? /㎡ h)(室内濃度指針値)(? /?)トルエンT 38 260キシレンX 120 870エチルベンゼンE 550 3,800スチレンS 32 220表3 建材からのVOC 放散速度基準(?日本建材試験センター)