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しろありNo.155

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概要

しろありNo.155

( 5 )レゾルシノール樹脂及び水性高分子-イソシネート系樹脂接着剤)からは4VOC の放散はほとんど認められず,これらの接着剤は4VOC 基準に適合するものと判断された。4.3 木質建材の4VOC 基準適合性 7品目95体の木質建材(合板:14体,集成材:14体,フローリング:20体,パーティクルボード:40体,ミディアムデンシティファイバーボード(MDF):5体,インシュレーションボード:1体,ハードボード:1体)について,4VOC 放散基準に対する適合性を解析したところ,これらの木質建材は4VOC 基準に適合するものと判断された。5. アセトアルデヒド問題の変遷 アセトアルデヒドに関連する主な諸施策を表5に示す。2002年1月,厚生労働省はアセトアルデヒドの室内濃度指針値(48? /?)を策定した。これを受けて,2003年4月,国土交通省は住宅の性能表示制度のなかの室内空気中の化学物質の濃度等の測定に関する対象物質としてアセトアルデヒドを追加した。一方,厚生労働省が室内濃度指針値を策定する際に参考にしたWHO(世界保健機関)は,2003年11月,アセトアルデヒドの室内濃度に関するガイドライン値を50? /?から300? /?へ改正する旨の書簡を我が国の林野庁へ送った。それを受けて,国土交通省は,2004年4月,住宅の性能表示制度の対象化学物質からアセトアルデヒドを除外した。 一方,環境省は2006年6月に,大気汚染防止法に関連して,優先取り組み物質として指定されている有害大気汚染物質のうち環境基準の設定されていない物質の環境目標値設定に関するパブリックコメントの募集を行った。このなかにはアセトアルデヒドも含まれていて,その目標値は48? /?となっていた。このパブリックコメントには,多くの意見が寄せられ,結果的には,アセトアルデヒドの目標値設置は見送りとなった。パブリックコメントに対する環境省の回答には以下のものがあり,これが,?48? /?? という数値に対する国の考え方の最新のものといえる。 ?アセトアルデヒドに係る指針値については,Appleman(1986)らによる動物実験のNOAEL(最大無毒性量)に不確実係数1,000及び断続暴露から連続暴露への補正5.6も加味した48? /?以下とすることを提案したところです。その一方,Appleman(1986)の知見を同じく活用したとするWHO の人間環境保全部長名で?アセトアルデヒドの耐用許容濃度値50? /?は間違いであり,300? /?が正しい。?とする書簡を示したところですが,WHO のGuideline for Air Quality が正式に訂正され,公表されたことは確認できないことから,その書簡に示された内容の趣旨を早急に確認したうえで改めて指針値の算定方法の検証を行い,指針値を決定いたします。? 国ではなく学会レベルとしては,2010年3月に日本建築学会が?アセトアルデヒドによる室内空気汚染防止に関する濃度等規準・同解説? を出版し、アセトアルデヒドの室内濃度指針値として48? /?を推奨している。室内空気とは直接関係ないが,2006年5月に厚生労働省は,アセトアルデヒドを食品添加物(香料)として認可している。アセトアルデヒドは,酒類の成分であるエチルアルコール(エタノール)が酸化されて生成する化学物資であることはよく知られているが,食品中にも天然に含まれている化学物質である。アセトアルデヒドは木材等の天然材料からも極微量放散するが、エタノールが木材と接触すると速やかにアセトアルデヒドを生成することが知られている8)。木質材料から比較的多くのアセトアルデヒドが放散するという報告もあるが、実際にはその発生源がエタノールである可能性を否定できない。6. PRTR 法 PRTR 法(特定化学物質の環境への排出量の把握及び管理の改善の促進に関する法律)については,木下による総説9)に詳細に記述されている。概略は下記のとおりである。 木材用接着剤の原料であるホルムアルデヒドについては,2008年に11月に改正されたPRTR 法において,第一種指定化学物質から特定第一種指定化学物質に変更された。これにより,対象となる木材・木製品製造工場では,2011年4月から排出量の把握及び国への届出が義務化される。対象条件は,従業員数が21人以上,接着剤のホルムアルデヒド含有率が0.1%以上,接着剤の年間使用料が0.5t/ 年であり,多くの合板工場等が対象となる。