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しろありNo.157

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しろありNo.157

?研究発表会?薬草からの白蟻防除薬剤の開発下  地  博  万 ( 33 )しろあり No. 157, pp.33―37. 2012年1月1. はじめに 建築物を木材腐朽菌やシロアリ等の被害から守るためにさまざまな防腐防蟻剤,工法が用いられてきた。防蟻剤として使用されていた有機塩素系のクロルデンが化審法の第一種特定化学物質に指定され1986年に輸入,製造,販売が禁止された。その後,クロルデンに代わる薬剤としてクロルピリホス,ホキシム等の有機リン剤が防蟻剤として使用されてきたが,環境への影響,人間の健康がより重要視され,2004年以降有機リン剤を認定薬剤から削除された。今日ではさまざまな作用を有する防蟻剤が利用されている1)。 沖縄県は亜熱帯地域に属し,年間を通じてシロアリの活動が盛んでその被害も甚大なものがある。家屋の加害シロアリとしてイエシロアリ(Coptotermesformosanus),ヤマトシロアリ(Reticulitermes speratus),ダイコクシロアリ(Cryptotermes domesticus),アメリカカンザイシロアリ(Incisitermes minor)が生存するが2,3),その中でもイエシロアリによる被害が最も大きい。このことから沖縄県においてシロアリによる家屋の被害を少なくすることは重要な課題である。 著者は環境や人体への影響の少ない防蟻剤の開発を目的として,昔から沖縄地域でさまざまな生理活性作用を有することが伝承されている植物資源(薬草)を用いて,沖縄県において最も被害が甚大であるイエシロアリに対する阻害活性を検討した。2. 実験方法2.1 供試試料 供試試料としてセンダン,モロコシソウ,ヨモギ,トウガラシ,リュウキュウアイ,イジュを用い,それらの分布,薬効などを示した。 センダン(Melia azedarach L. 写真1)は四国,九州,小笠原,沖縄,中国から西南アジアにかけて分布し,世界熱帯各地でも植栽されている。形態は写真1 センダン写真2 モロコシソウ樹高約7mになり,幹は四方に分岐する。薬効として駆虫作用がある5)。生薬名はクレンピ,クレンシという。材から殺蟻成分としてニンボリンAが屋我4)によって報告されている。 モロコシソウ(Lysimachia sikokiana Miq. 写真2)は本州中部以南,四国,沖縄,台湾に分布する。形態は20 ~ 50㎝位で,花期は初夏である。葉えきから4~8㎝の黄色い花を下向きに出す。薬効は健胃薬として食欲不振,腸満のほか歯痛剤に使われてい