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しろありNo.158

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概要

しろありNo.158

( 11 )図7 旧池上家住宅北側軒先の様子。カビ繁茂による白色や黒色への変色図8 旧島田家住宅周囲の植栽帯。植栽帯は屋根より低いために,屋根は乾燥され易く劣化が進行し難い。図5 小野家住宅屋根の軒先部分。黒変箇所では多くの茅で茎内部の髄が欠落している。図6 旧池上家住宅北側の様子と屋根上での植物類繁茂ているものである。このような屋根については,亘理俊次により芝棟として紹介されている11)。多くの場合,苔や藻類などの繁茂した屋根では,軒先部分で白色や黒色,その他さまざまな色を帯びた菌類の繁殖が生ずる。この例を図7に示す。 屋根の周囲に樹林帯などが存在しても,その高さが屋根より低い場合,屋根は乾燥し易く,劣化の進行は妨げられる。この例を図8の旧島田家住宅で示す。3.3 屋根表面の黒変と黒変部の中空茅について 茅は屋根葺き用の草本類を指すが,狭義にはススキを意味することが多い12)。茅はまた萱とも書くが,この萱は元々は誤用である。ススキの地上部を冬季に刈り入れ,貯蔵後屋根葺きに用いる。ススキの茎,葉鞘,穂先の全ての部分が使用され,一般に穂先をして観察すると,図5のごとくになる。黒変部分はその下側の健全な部分と比較して,健全部では茎の中心部に白色の髄が存在するのに対して,黒変部分の茎内部では中心にあるべき髄を欠き,中空になっているという特徴がある。髄が欠落する詳細については後述する。 屋根の周囲に樹林があり,湿気が籠りがちな環境では,屋根表面に苔類や藻類,シダ類,草本類が繁茂しがちとなる。この例を旧池上家住宅について,図6に示す。旧池上家住宅の場合,北側には樹林や竹林があり,日当たりも悪く湿気が籠り易い。そのため,屋根が一度濡れると乾燥され難く,苔類や藻類,シダ類,さらに草本類が屋根に繁茂することとなる。なお,小野家住宅の屋根頂部の植物繁茂(図2)は,根の張る植物をあえて植え,茅の抑えとし