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しろありNo.158

( 29 )しろあり No. 158, PP.29―31. 2012 年7月<研究トピックス>シロアリは‘光’の色を見分けることができるのか?~イエシロアリとヤマトシロアリの職蟻・兵蟻の走光性比較~大  村  和香子1.はじめに 世界的にも木材・木造建築物に大きな被害を及ぼすことで知られるイエシロアリは,日本では6~7月の夕刻に‘群飛’と呼ばれる有翅虫による結婚飛行が見られ,おびただしい数の有翅虫が街灯に群がる。このような現象から,イエシロアリ有翅虫は光に誘引される性質を有することが古くから知られていた。その一方で,巣の構成員の大部分を占め,実際に木材の加害に関与する職蟻および兵蟻の光に対する反応行動に関する報告はほとんどなく,外部形態からも複眼が明瞭にはわからないことから「シロアリは目が見えない」などと表現されたりもしてきた。 そこで筆者らは,イエシロアリおよびヤマトシロアリの職蟻および兵蟻の,光に対する反応特性(走光性)を明らかにすることを目的として,光量子束密度(:光の強さ(明るさ)を表す単位。1秒あたり,1m2あたりの光子(光子1mol =6.03×1023個)の数。)を一定にした条件で,光の色,つまり光の波長(図1)を変えてシロアリに照射することにより,どの波長の光に対して,職蟻と兵蟻が混在するコロニー集団として鋭敏に反応するかを検討した。2.研究の方法2.1 供試シロアリ イエシロアリは森林総合研究所において飼育中の巣から採取した個体を供試した。当該巣は2003年に岡山県倉敷市において掘り出したのち森林総合研究所内の飼育槽に移設し,26 ± 2 ℃,65 % R.H. の環境下で飼育したものである。ヤマトシロアリは森林総合研究所構内において本種が加害中の枯木を採集し, 枯木ごと実験に供するまで26 ± 2℃,湿度65% の条件下で保管・飼育した。2.2 試験方法 スチロール製透明容器(60 × 100 × 26 mm)の短側面に縦26 × 20 mm の孔をあけ,開口部分に石英カバーグラスを装着した(図2)。容器底部は黒図1 光の‘色’と波長との関係紫外線400 500 600 700赤外線波長(nm)可視光線(=人間の目で見える範囲)紫青緑黄橙赤図2 試験装置の概要ND フィルタ単色光光源黒色無反射シート石英製カバーガラススチロール製容器