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しろありNo.158

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概要

しろありNo.158

( 30 )色無反射シートを敷設し,その上にイエシロアリの場合は職蟻150頭,兵蟻15頭を,ヤマトシロアリの場合は(擬)職蟻300頭,兵蟻10頭を投入した。 キセノンランプを光源とする分光照明装置(分光計器株式会社製,東京)から,回折格子により波長帯幅約20 nm の条件で分光した近似単色光を石英カバーグラスを介して,石英カバーグラス外側における光量子束密度が60μ mol/m2/s 一定となるような条件で,試験容器内のシロアリに光を照射した。なおキセノンランプは人工光源の中で太陽光に最も類似した波長特性を有する光源であり,また光量子束密度60μ mol/m2/s は曇りの日の屋外の明るさに相当する条件である。試験容器は,容器底部面積の半分に光が照射されるような位置に固定し(図2),波長350~450 nm では25 nm 間隔,450~650 nm では100 nm 間隔で照射した。試験環境は23 ± 3 ℃,65 ± 5 %R.H. とした。2.3 走光性の判定 各波長ごとに光照射開始30秒後と300秒後にデジタルカメラ(EXILIM, CASIO 製;CX4, RICOH 製)を用いて容器上部よりシロアリを撮影した。撮影画像をもとに光が照射されている範囲に存在するシロアリの頭数を計数し,全頭数に対する百分率(平均値。以下「光照射範囲存在率」とする)を算出した。各検定区における繰り返し数は3とした。3. 結果と考察3.1 イエシロアリのコロニー集団としての走光性  (大村ら, 2009) 各波長において光が照射された範囲に存在するイエシロアリの割合を図3に示す。光照射時間の経過とともに,光照射範囲内の個体数が減少する,つまり負の走光性を示す傾向が認められ,特に375 nmでは照射開始後30秒後と比較して,照射開始後300秒後では照射範囲内の個体数が有意に減少した(p<0.05)。また,650 nm(赤色光)では光照射範囲内外の個体数がほぼ同数であったことから,イエシロアリは赤色光には反応しないと判断された。同じ照射時間で比較した場合,照射開始後300秒以後では波長が短くなるほど照射範囲内の個体数が明瞭に減少し,この傾向は450nm 以下の波長で特に顕著であった。しかし照射開始30秒後では,350 nm ~ 375nm の紫外光よりも400 nm ~ 450 nm の可視光域(紫色~青色光)で照射範囲内の個体数が少ない傾向が認められたことから,この波長域の光に対してシロアリがより鋭敏に反応すると考えられた。3.2 ヤマトシロアリのコロニー集団としての走光   性(大村ら, 2011) 各波長において光が照射された範囲に存在するヤマトシロアリの割合を図4に示す。 波長間で光照射範囲存在率を比較すると,いずれの照射時間においても波長650 nm(赤色光)で最も図3 異なる波長におけるイエシロアリの光照射範囲存在率(%)(光量子束密度:60 μmol/m2/s 一定)0255075350 375 400 425 450 550 650波長(nm)30 秒後300 秒後イエシロアリの光照射範囲存在率(%)