ブックタイトルしろありNo.159

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しろありNo.159

TERMITE JOURNAL 2013.1 No.159 5観察された触角上感覚子が, 触角上における分布および外部形態において, 近縁であるゴキブリと多くの点で類似していたことである。棘状感覚子ⅠおよびⅢはワモンゴキブリを用いた報告に基づき機械感覚子8)と推定され, 同じく錐状感覚子は匂い受容の化学感覚子9)と推定される。茸状感覚子はYokohari10)の報告に基づき,温湿度受容器と推定される。水分はシロアリの生存にとって非常に重要であり, その行動を左右する大きな要因の一つであると考えられるが, 一方で水分需要依存性の行動に関わる神経系統がシロアリで報告されたことはない11,12)。Yanagawa et al. 13) はグルーミング行動に関わる外部環境由来刺激を受け取る匂い受容感覚子として, 棘上感覚子Ⅱを報告しているが, 行動と神経系をつなぐ研究報告は多くない。外部情報と昆虫の行動には実際には多くの関連が認められ(図11), 外部情報を受容しているこうした器官がどのように情報を受け取り処理しているのか, さらなる調査が必要である。 本成果は, イエシロアリの外界認識および認識情報に基づく行動を理解するために貢献するものである。また, イエシロアリから家屋を守るための新規手法を確立するための一助となるものである。感覚毛の分布には規則性がみられる図10 触角上感覚子の分布自然界に見られる相互作用図11 外部環境情報と予測されるシロアリの行動引用文献1) 安部琢哉 (1989): シロアリの生態, p. 494, 東京大学出版, 東京.2 ) A l t n e r , H . a n d L . P r i l l i n g e r ( 1 9 8 0 ) :Ultrastructure of Invertebrate Chemo-, Thermo-,and Hygroreceptors and Its FunctionalSignificance. International Review of Cytology.67: 69-139.3) Costa-Leonardo A.M. and H.X. Soares (1997):Morphological aspects of neotropical termiteantenna under scanning microscopy. Revta. Bras.Ent. 41: 47-52.4) 松本忠夫 (2002): 昆虫から学ぶ生きる知恵, 株式会社グパプロ, 東京, pp92-105.5) Merivee, E., M. Rahi and A. Luik( 1999): Antennalsensilla of the click beetle, Melanotus villosus(Geffroy) (Coleoptera: Elateridae)Int. J. Insec.Morphol. 28, 41-51.6) 森本 桂 (2000): シロアリと防除対策 第1章 シロアリ, pp.1-119, 社団法人日本しろあり対策協会, 東京.7) Prestage J.J., E.H. Slifer and L.B. Stephens( 1963):Thin-Walled Sensory Pegs on the Antenna of theTermite Worker, Reticulitermes flavipes. An. Ent.Soc. Am. 56: 874-878.8) Toh, Y. (1977): Fine Structure of AntennalSense Organs of the Male Cockroach, Periplanetaamericana. J. Ultra. Res. 60: 373-394.