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しろありNo.160

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しろありNo.160

Termi te Journal 2013.7 No.160 27図4?2 東側外周壁の診断結果(□枠が劣化部)ルは「ほぼ健全?小」と判断された。 上記の結果は, コンクリート上端から上方約5㎝の位置を屋外から測定したものである。柱の下端は, コンクリートの中に埋め込まれていて屋外からは計測できなかった。一方, 屋内の床下では屋外側よりも約20㎝下部まで木材が露出していたので, 床下点検口に近いE9について床下側から診断を行った。その結果を見ると, 奥行き11㎝の位置から20㎝の位置まで, 幅10㎝にわたって劣化の兆候が認められた。すなわち, 外部から測定したときよりも内部の床下から測定したときの方が劣化レベルが高くなっている。その原因は,柱の下端に近い位置の方が雨水が滞留しやすいからであろう。③積層梁:これは, 厚さ15㎝の集成材を3枚積み重ねて構成されている(梁の厚さ:合計45㎝ , 幅:60㎝)。事前の調査報告及び今回の一次診断結果によると, E8及びE9の管柱付近の梁に顕著な劣化が認められているので, この付近を重点的に診断した(写真8を参照)。写真から明白なように, 上部の管柱と梁との交差部には「水切り」が設置されておらず, 上部の管柱から流れ下る雨水は水平の梁材に導かれる構造になっていた。これは, 雨仕舞いの観点から極めて不都合である。当然の帰結として, この交差部の診断結果は激しい劣化を示した。例えば, E8の場合, 積層梁の中層を屋外側から測定したところ, 測定限界である深さ28㎝まで完全に強度を消失していた。一方, 同一部材を屋内側から計測すると, 測定限界である深さ28㎝まで健全であった。梁の幅は60㎝なので, 積層梁の中層は, 断面欠損率が約50%に達し, 劣化レベルは「甚大」と判断された。E9では, 梁を構成するの3層の部材の全てを屋外側から診断した。その結果, 表層部に僅かな(卵の殻のような)健全部を残して, それより内部は深さ15㎝(上層), 17.5㎝(中層), 18.5㎝(下層)まで,完全に強度を消失していた(図5)。E9の積層梁の断面欠損率は約28%であり, 劣化レベルは「大」と判断された。 E8とE9は隣り合った交差部であり, 梁の劣化はさらに水平方向に拡がっている可能性がある。そこで,E9とE10の中間(E9から水平方向に2m離れた位置)を診断したところ, 劣化の兆候は認められなかった。すなわち, 劣化はここまで波及していない。 以上, 東側外周壁の積層梁は, 管柱との交差部を中心に局部的に激しい劣化を生じていることが判明した。4)北側外周壁 レジストグラフ診断結果を図6に示した。なお, この壁面では屋外に筋交いが取り付けてあったので, その足元についても診断した。また, 体育館のメインフレーム(B1, C1, D1, E1)は外側に板金製の防水カバーが取り付けてあったので, 板金のない側面から診断した。それ以外は, 屋外から屋内に向けて診断した。なお, D1については屋内側から屋外側に向け