ブックタイトルしろありNo.160

ページ
5/52

このページは しろありNo.160 の電子ブックに掲載されている5ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

しろありNo.160

ブックを読む

Flash版でブックを開く

概要

しろありNo.160

2 T e r m i t e J o u r n a l 2 0 1 3 . 7 N o . 1 6 0方向やフィルムの延伸方向を組み合わせた実験条件で, PVDFフィルム(40μm厚, 15 ?40mm角)の検出感度は, PZTセンサよりも低いが, 面積が大きいほど高くなった(図1)。また検出感度を高めるために,PVDFフィルム(25mm角)を3枚積層して, イエシロアリ(Coptotermes formosanus)の食害AEの検出を試みた。その結果, イエシロアリを木材に封入してから3時間の累積AE事象数は, フィルムが単層の場合はPZTセンサの約1/12であるが, 3枚積層の場合は約1/5になることがわかり, フィルムの大面積化と積層化によって, 検出感度が高くなることが明らかになった(図2)。時間累積事象数時間(単層) ( 枚積層)図 とで検出したシロアリ食害の累積事象数の時間変化× × × ×プレートの厚さ平均振幅プレートの面積図 プレートの厚さおよび面積と検出疑似の平均振幅の関係はプレートを介なかった場合の平均振幅を示す。時間時間図 とで検出したシロアリ食害の累積事象数の時間変化× × × ×プレートの厚さ平均振幅プレートの面積図 プレートの厚さおよび面積と検出疑似の平均振幅の関係はプレートを介さなかった場合の平均振幅を示す。3. シロアリ食害によって発生するAE検出への鋼製ウェーブガイドの利用 木材中のAE波の減衰は非常に大きく, そのため伝搬距離が短くなり, 1個のセンサでの監視領域は小さくなる。そこで, AE波がほとんど減衰することなく伝搬する金属材料を介することによって, より検出範囲が広くなると考えられる。木造建築部材とAEセンサの音響的な接触面積の拡大を狙った鋼製プレート, および壁の内部にある木材部材とAEセンサの音響的な結合を狙った鋼製ニードルのウェーブガイドとしての特性を, 疑似AEおよびシロアリ食害活動によるAEを用いて検討した。その結果, 疑似AE信号の振幅は, プレートの厚さには影響されず, 面積が大きいほど大きく, 面積が30×30 mm2以上ではAEセンサを直接木材に取り付けた場合(平均振幅4.42V)よりも大きくなった(図3)。プレートを用いることによってAE波が増幅される効果はないことから, 様々な振幅を含んだAE波を効率よく検出したと考えられる。またイエシロアリの食害活動を監視したときの累積AE事象数は,プレートを介した方が介さない場合よりも大きくなり, シロアリ食害AEの検出性能が向上することが明らかになった(図4)。図3  プレートの厚さおよび面積と検出疑似AEの平均振幅の関係4.42Vはプレートを介なかった場合の平均振幅を示す。図2  PVDFとPZTで検出したシロアリ食害AEの累積事象数の時間変化プレートなしプレートあり時間累積事象数図 プレートの有無によって検出したシロアリ食害の累積事象数の時間変化センサセンサホルダシリコンゴムネジネジシリコンゴムセンサニードル型センサホルダニードル型センサホルダ石膏ボード厚合板厚間柱壁紙センサニードル型センサホルダセンサ壁紙石膏ボード( 厚)合板( 厚)間柱図 ニードル型ウェーブガイドの構造(左)と壁面への取り付け状況(右)図4  プレートの有無によって検出したシロアリ食害AEの累積事象数の時間変化プレートなしプレートあり時間累積事象数図 レートの有無によって検出したシロアリ食害の累積事象数の時間変化センサセンサホルダシリコンゴムネジネジシリコンゴムセンサニードル型センサホルダニードル型センサホルダ石膏ボード厚合板厚間柱壁紙センサニードル型センサホルダセンサ壁紙石膏ボード( 厚)合板( 厚)間柱図5 図ニ ーニドードルル型型ウウェェーーブガブイガドのイ構ド造の(左構)と造壁(面左への)取とり付壁け面状へ況の(右取) り付け状況(右) 一方, ニードル型ウェーブガイド(図5)を用いて,実際の木造住宅内のイエシロアリ食害を検出した。石膏ボードと壁紙によって壁内の部材が見えないため,また石膏ボード内ではAE波の減衰が大きく, 伝搬しないため, 壁表面からニードルを部材まで貫通することによって, 部材内部の食害AEを検出することを試みた。その結果, 壁内でのシロアリの食害活動を良好に検出できた。特に, 5分間当たりのAE事象数が最も