ブックタイトルしろありNo.162

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概要

しろありNo.162

6 T e r m i t e J o u r n a l 2 0 1 4 . 7 N o . 1 6 22. 材料の検討・開発 防蟻性能として必要かつ重要な材料特性に硬度があり, 硬度が大きいほど防蟻性能は良好であるといえる1)。しかし, ケーブルが硬くなり曲げづらくなる。よって,防蟻性能を維持しつつナイロン12より軟らかく, ナイロン12ほど高価でない材料開発を目指した。 代表的な被覆材料の一般特性及び材料価格, 製造作業性を表1に示す。報 文Reportsシロアリ対策ケーブル(ありタフ)タツタ電線株式会社 勝矢 利明・曽我部 聖司1. はじめに 住宅や工場等で使用されている汎用的なケーブルではシロアリの食害が発生している(写真1)。写真からわかるように, ケーブル外被の表面がかじられ穴があいており, 最悪の場合, 大きな事故につながる可能性がある。これはケーブルの被覆材料に防蟻性能がないためである。 ケーブルのシロアリ対策は, 特に重要な配電線で使用されるところには, ケーブル外被上に防蟻性能を有したナイロン12を被覆したものが一般的に用いられている。当社もナイロン12を用いた防蟻ケーブルは1993年から製造しており電力会社殿向けに多くの納入実績があるが, 一般的なユーザーには納入実績が少ない。 これは, ナイロン12が非常に高価で, ケーブル製造時, 材料を乾燥する必要があるなど製造しづらく, また硬度も大きいためケーブルが曲げづらいなどの要因がある。 このため, 汎用的なケーブルにもシロアリ対策品を提供できるようにナイロン12に代わる価格面・製造面・布設作業性を改善した新防蟻材料の開発に着手した。写真1 (汎用的なケーブルの被害状況)ケーブル被覆材料はビニル注)写真は社団法人日本しろあり対策協会 シロアリ(被害・生態・探知)より抜粋表1 被覆材料の一般特性及び材料価格, 製造作業性ナイロン12 高密度ポリエチレン低密度ポリエチレンビニル比重1.01?1.03 0.94?0.97 0.91?0.93 1.3?1.4表面硬度( ショアD ) 70?80 60?70 55?60 ―――耐摩耗性◎ ◎ ○ ○耐候性○(黒色)○(黒色)○(黒色)○(黒色)耐水性○ ◎ ◎ ○耐油性○ ○ ○ ○耐薬品性△ ○ ○ ○難燃性× × × ○材料価格× ○ ○ ◎製造作業性× ○ ○ ○◎:非常に優れている. ○:優れている. △:やや劣る. ×:劣る.