ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play

概要

しろありNo.163

22 T e r m i t e J o u r n a l 2 0 1 5 . 1 N o . 1 6 32.実験方法・蟻道実験 2012年4月から7月にかけて, 京都市内において8コロニー(A-H)のヤマトシロアリのコロニーを採集した。それぞれのコロニーからワーカー400匹の分集団を作り, 実験に用いた。また幼虫や小さいワーカーは蟻道建設に参加しないため6), 実験には, 全てステージ3以上のワーカーを用いた。コロニー毎に5つの分集団を用意した。プラスチックケース(221×141×37mm)の短辺中央に餌および巣材として, アカマツの褐色腐朽材粉末とセルロースを5:1で混合した円柱(直径36mm×15mm)の培地を置き, ここでシロアリを25℃ , 16L 8Dの条件で30日間飼育した。また, Eコロニーの1グループ(E 4)は24日目に事故的に壊してしまったため, データから除いた。 蟻道形成を記録するために, 1日1度真上から, ケースをデジタルカメラで写真撮影した。シロアリは培地中の粒や糞を用いて蟻道を作るか, もしくはケースの表面をマット状に覆った。蟻道はその特徴から, ケースの縁に沿って作られる周縁蟻道(est), 縁に沿わず中央部を進む遊走蟻道(vst)の二つに分類した(図1)。 1日置きに撮影された写真から, 蟻道形成の過程と構造に関する以下のデータを計測し, 分析に用いた。計測したものには, 蟻道を建設し始めるまでの日数と,その後のestとvstそれぞれの伸長距離, 培地から出た蟻道数, 蟻道先端数, 蟻道同士の交点数が挙げられる。また, 蟻道と培地から運ばれた粒の面積の合計もAdobePhotoshopを用いて測定した。・クラスター解析 樹形図を作り, 蟻道建設のコロニーの特徴を概観するために, 階層的クラスター解析(hierarchical clusteranalesis: HCA)を行った。30日後の6つの構造的特徴(総伸長距離(est+vst), vstの割合[vst / (est+vst)], 培地から出た蟻道数, 蟻道先端数, 蟻道交点数,被覆面積)を用いた。全ての変数はu = (x ? m) / sの式を用いて標準化されたデータを用いた(uは標準化された値, xは変数の値, mは平均値, sは標準偏差)。・統計解析 蟻道形成の過程と作られた構造におけるコロニー特異的な特徴を調べる為に, 被覆面積, 初期蟻道形成速D1D2D5H2D3D4H3H5B3B1B4G3G1G2G4G5B2B5E2E5E1F2F1F5F3H1C1C2C3A4C5A1C4F4H4A5E3A2A30 5 10 15 20 25vst estマット状abコロニー BB1 B2 B3 B4 B5D1 D2 D3 D4 D5D1D2D5H2D3D4H3H5B3B1B4G3G1G2G4G5B2B5E2E5E1F2F1F5F3H1C1C2C3A4C5A1C4F4H4A5E3A2A30 5 10 15 20 25vst estマット状abコロニー Bコロニー DB1 B2 B3 B4 B5D1 D2 D3 D4 D5図1  蟻道の構造におけるコロニー特異性。a 階層的クラスター解析の結果描かれた、蟻道構造の樹形図。距離はWard’s法で求められ、図の上部に示されている。樹形図の左側にある写真はそれぞれ、主要な4つのクラスターの特徴を表している。また、周縁蟻道(est)、遊走蟻道(vst)、およびマット(mat)の例を写真上に示した。b 代表的なコロニーから分けられた分集団における蟻道の構造の比較。Mizumoto and Matsuura(, 2013) 5)より改変