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概要

しろありNo.163

Termi te Journal 2015.1 No.163 31研究発表Presentations at the research Meeting1.はじめに ホウ酸塩製剤については, 平成17年市場問題苦情処理体制(OTO-675)で米国大使館が木材保存剤の認定方法の適正化を代理申立し, 経済産業省と農林水産省は日本木材保存協会に行政指導した。6年後の平成23年7月, 日本木材保存協会はホウ酸塩製剤をJIS K1571の附属書Aによる表面処理防蟻防腐剤として薬剤認定した経緯がある。 附属書Aによる表面処理防蟻防腐剤は, 室内試験の溶脱操作を省略した認定薬剤で, 適用範囲を風雨から遮断され非接地に限定している。しかし, ホウ酸塩製剤は条件付きではあるが認定を取得した事で, 長期優良住宅の劣化等級3の防蟻防腐剤として使用が可能になり, 使用量も増加している。 一方, 製材の日本農林規格(JAS)では, 保存処理(加圧注入)として, ほう素化合系を性能区分K1とし, 使用環境を腐朽蟻害のおそれのない場所で乾材害虫(ヒラタキクイムシなど)に対して防虫性能のみを必要とするものとして想定しており,K 3, K 4の腐朽蟻害のおそれがある使用環境と区分している1)。 また, 平成6年にハワイ大学のグレース教授は,「ホウ酸塩で表面処理したベイ松材のイエシロアリ加害試験」で, グリコールホウ酸塩で表面処理したベイ松材が, 野外のイエシロアリ営巣により70日で36%食害されたと報告している2)。 これらの事から, ホウ酸塩製剤は, JIS K1571の附属書Aによる表面処理防蟻防腐認定薬剤ではあるが, イエシロアリの被害が多い九州地区で使用する防蟻剤として十分な性能を有しているか確認が必要と考え, イエシロアリ飼育営巣とAE検出器を用い, ホウ酸塩認定薬剤1剤について防蟻効力確認試験を2種類行った。2.AE検出器 材料の内部で微小な破壊が発生した時でも, 微弱な振動が発生し地震のように材料内を伝わる。この現象をアコースティックエミッション(AE)と言う。微弱な振動(超音波)をAE波と言う。AE波は, シロアリが木材をかじる時の微小な破壊によっても発生する。AE計測では, 断続的に発生する一連の波動を一つのAEイベント(事象)として認識し, AEイベントの発生数(AE発生数)を計測する。短時間のAE発生数が多い程, 沢山のシロアリが木材をかじっていることを示す。 今回の防蟻効力確認試験では, 試験木材にAEセンサーを取り付け, AE計測を行った。AEセンサーはイエシロアリに加害されないようアルミホイルで養生し, 試験木材に1.6mmの穴を開け, センサーホルダーを挿入し測定を行った。 使用機材名:AE検出器(写真1, 2) 製造会社名:丸和バイオ株式会社 AE計測時間:10分間 A E 発生数: 3回計測し, 3回の平均を計測値とした。イエシロアリ飼育営巣とAE検出器を用いたホウ酸塩製剤の防蟻効力確認試験報告廣瀬産業株式会社 廣瀬 博宣写真1  AE検出器