ブックタイトルしろありNo.163

概要

しろありNo.163

Termi te Journal 2015.1 No.163 37５．まとめ　今回行った二種類の試験から, ホウ酸塩製剤で処理した木材は, 設置１日目からイエシロアリに加害されることを確認した。ホウ酸塩処理材のＡＥ発生経過は無処理材と変わらず, ピレスロイド処理材で確認されたＡＥ発生抑制（加害抑制）は無く, ホウ酸塩製剤の処理面は集団としてのイエシロアリ職蟻により, 容易に加害貫通されることが確認された。　また, ホウ酸塩処理材は, 無処理材より早く蟻土で覆われた。ピレスロイド処理材で確認された蟻道構築抑制（忌避性）と対象的であった。　試験Ｂのホウ酸塩処理材の食害率は64%で, 無処理材41%よりも多かった。防蟻処理した木材が無処理材より早く加害されるという驚きの結果であった。ピレスロイド処理材の食害率０%（微被害）と対照的であった。　今回二種類の試験を行ったが, これらの結果はホウ酸製剤のイエシロアリに対する防蟻効力を否定する結果であり, 関係機関で早急に原因の究明をお願いしたい。また, イエシロアリの被害が多い九州地区など, イエシロアリが多く生息する地域では, 防蟻薬剤の選択については実績のある公益社団法人日本しろあり対策協会の認定薬剤を使うなど, より慎重な検討を行うことが望まれる。　なお, 今回実施した試験は, 公益社団法人日本木材保存協会が認定したホウ酸塩製剤１剤を用いた試験結果であり, 他のホウ酸塩認定薬剤について同様の傾向があるとは言えない。試験結果の取扱には注意して戴きたい。他ホウ酸塩認定薬剤については, 早い時期に確認試験を行う予定である。　最後に, ハワイ大学グレース教授のホウ酸塩資料を紹介して戴いた友清重孝氏に感謝する。引用文献１） 鈴木憲太郎（1995）：製材等JAS規格の改正について.木材保存, 21,134-140.２） J. Kenneth Grace, Robin T. Yamamoto (1994):Simulation of remedial borate treatmentsintended to reduce attack on Douglas - fir lumberBy the Formosan Subterranean Termite (Isoptera:Rhinotemitidae), J. Ecne. Entomol., 87(6), 1547-1554.写真20　 34日目無処理材の被害状況写真22　 34日目ピレスロイド処理材微被害写真21　 34日目ホウ酸塩処理材の被害状況写真23　 34日目ピレスロイド処理材底部被害