ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play

概要

しろありNo.163

44 T e r m i t e J o u r n a l 2 0 1 5 . 1 N o . 1 6 311.まとめ 鹿児島県の工場で発生したアメリカカンザイシロアリ被害を, ムースエアゾール, ピペットノズル, AE検出器を用い駆除作業を行った。 工場の建物は, 構造木材が剥き出しになっており,見え隠れの部材が少なく, 部材毎の駆除効果を確認し易い構造であった。しかし, 虫糞の落下箇所1箇所に対し, ムース注入箇所は5~ 20箇所と, 当初の予想より細かい作業となった。薬剤注入だけで終わった場合,被害の見逃しも当然懸念される。しかし, AE検出器を用いた生息確認を行うことで, 生息部材を確認でき,より確実な駆除工事を行うことができた。本建物については, 定期的に調査し, 今回の駆除工法の確実性について確認を行って行きたい。 アメリカカンザイシロアリの被害拡散はゆっくりで, 被害はイエシロアリなどに較べ軽微であり, 住宅の崩壊などは発生しない。生息地域も限定されている。したがってアメリカカンザイシロアリ対策としての予防工事は必要ないと思われる。今回の駆除工法を参考に, より確実な駆除工法が確立され, アメリカカンザイシロアリの被害家屋について, その被害低減, 収束が図られることを期待する。引用文献1) 簗瀬佳之(2014):X線CT装置を用いたアメリカカンザイシロアリの可視および食害材の空隙率と残存曲げ強度の関係, (公社)日本木材保存協会第30回年次大会研究発表論文集, 98-103.2) 森本 桂(2009):アメリカカンザイシロアリの生態と防除法.木材保存, 35(2), 44-45.写真24 木材表面の羽アリせん孔箇所写真25 木材継手部の羽アリせん孔箇所