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概要

しろありNo.164

Termite Journal 2015.7 No.164 23 まず, 実験中の温湿度を管理するため, 図2に示す実験箱(900×1400×400mm3)を作成した。実験箱内は,温度28±2℃ , 相対湿度80±10%で管理されている13)。続いて, 材の部位による嗜好の差異を極力避けるため,同一材から切り出した2つの材(スギ辺材, 長さL, 断面積A=20×20mm2)を, 切断面を向かい合わせて互いに30mm離し, 図3に示すプラスチックと水分補給用の石膏で作成されたケース(以下, Termites cell 1)で固定する。Termites cell 1上部の孔から実験中に死んだシロアリと実験中に作られた蟻道の除去を行う。 向かい合わせた二つの材を摂食させるため, 職蟻30頭および兵蟻3頭をTermites cell 1内に2週間閉じ込める。実験結果の普遍性を確保するため, Evansらの実験, 研究室内で行った予備実験の結果をふまえ, それぞれの試験体の繰返し回数14)を各18回以上とした。摂食活性を評価するため, 実験後に各材に生じたトンネルの長さの和(以下, 摂食量)を測定し, 繰返しに対する摂食量の平均値を算出した。2. 木材の長さと摂食活性に関する実験的検討2.1 設定 シロアリの摂食活性は, 温度や湿度により大きく変わることが広く知られている11)。また, Evansらが実験対象とした乾材シロアリと異なり, 本研究で対象とする地下シロアリはその生存に液体状の水を必要とし,特別に加工した巣や蟻道を構築する能力をもつ12)。以上をふまえ, 本研究では, 選択実験の環境を下記のように構築した。図4 材の長さと摂食活性に関する実験概要図図3 Termites cell 1図2 実験室および実験箱(900×1400×400mm3) 本章では, まず, 材の寸法と摂食活性の関係を検討するため, 二つの材のLとして40および160mmを用いた実験を行う。材を組み合わせ, 図4に示すC1~ C3の3種の試験体を用意した。簡易的に, 図4左側の材をL材, 右側の材をR材とする。2週間経過した後, 各試験体それぞれのL材とR材の摂食量の平均値FL_avg,FR_avgを算出するとともに, L材とR材の摂食量の和の平均値Fsum_avgも合わせて算出した。