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概要

しろありNo.164

Termite Journal 2015.7 No.164 355. まとめ シロアリ調査物件数は札幌市から距離のある小樽市, 余市町を除いた2006年からの9年間で107件であった。件数が多かったのは札幌市中央区に次いで豊平区, 西区, 白石区で全体の72%を占めた。一方, 厚別区と北区, 東区の中でも札樽自動車道より北から北東にかけての地区は調査物件が全く無かった。これらの結果を地勢と風向きとの関係について以下に考察してみた。1 .調査物件数の多かったJR函館本線及びJR千歳線より南の地域は, 扇状地や山地の地形が多かったが,調査物件数の少なかった札樽自動車道より北から北東にかけての地域や厚別区には低地や泥炭地が広がっている。2 .屯田兵入植地とシロアリ調査依頼物件とが重なり,山鼻兵村(現中央区)と琴似兵村(現西区)に関して服部3)の報告と類似の状況が続いていた。3 .泥炭地域や低地など冠水地域でも白蟻調査依頼物件が散見された。短期間の浸水であれば生き延びる可能性が考えられた。冬の凍結は厳しいゆえに被害家屋増加に至らなかったのではないかと思われる。4 .群飛方向説の吟味により, 調査依頼の多かった札幌市4区より北東側の調査物件は少ないと考えられた札幌市内の区とその周辺地域のシロアリ調査物件分布は, 地勢だけでなく羽蟻の群飛好適日の風向も影響していると考えられた。引用文献1 )服部畦作, 長谷川恩(1970):近年北海道に発生した家屋害虫について, 北海道立衛生研究所報, No. 20,87?88.2 )青山修三(2005):我が国最北端にせまる北海道のシロアリ生息分布, 木材保存, vol. 31 No. 4, 152?161.3 )服部畦作(1976):北海道のシロアリ―その衛生動物学的考察―, しろあり, No. 25, 3?8.4)森田博志(1985)屯田兵, 北海道新聞社.5 )中村陸男(1997):“札幌の自然を歩く”, 地学団体研究会札幌支部編, 北海道大学図書刊行会, 10?12.6 )松浦健二(2013):“シロアリ-女王様, その手がありましたか!”, 山口昭男編, 株式会社 岩波書店, 28-29.7 )青山修三(1976):北海道におけるヤマトシロアリReticulitermes speratus防除に関する諸問題, しろあり別冊, No. 25, 9?13表3 群飛好適日 12時の風向(昭和44~49年)7)方位1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 計日数- - 2 5 5 3 1 - - - 2 - 2 9 11 5 45