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概要

しろありNo.164

Termite Journal 2015.7 No.164 37シロアリがまだ広く認識されていなかったため, なかなか結果を理解してもらえなかった。その後, 和歌山県, 兵庫県, 宮崎県, 島根県で被害家屋の調査を行いながら, 現在に至るのだが, 広く協会員にもアメリカカンザイシロアリが認識され, 生息および被害が多く報告されるようになった。プロット数以上にアメリカカンザイシロアリの生息地域が実際に拡がっているのか,あるいはすでに広範囲に広がっているのをこれまで発見できていなかったのかはわからないが, おそらく今後もプロットは増加すると考えられるため, 報告された場合は慎重に確認調査を行う必要がある。そして,可能であれば, アメリカカンザイシロアリに関しては,虫体もしくは被害材を提供していただくこともあわせて行うとともに, 侵入経路に関する情報もできる限り調査することが望ましいと考えられる。さらに, 駆除に関する履歴も得られれば, プロットが現在も生息しているデータなのか, あるいは発生の確認とともに駆除され現在は生息していないデータなのかもわかる。の発生情報がプロットされた場合には, 情報提供した協会員に詳細を確認する必要があると考えられる。図2  イエシロアリの発生確認地点((公社)日本しろあり対策協会作成「日本全国シロアリ分布図(2014)」より)図3  アメリカカンザイシロアリの発生確認地点((公社)日本しろあり対策協会作成「日本全国シロアリ分布図(2014)」より)4. アメリカカンザイシロアリの分布 図3に示すように, アメリカカンザイシロアリの被害発生は, 26都府県にプロットされている。プロットが点在しており, 定着して被害が広がっている地点もあれば, すでに駆除されている地点も含まれていると考えられる。またアメリカカンザイシロアリについては樹木で確認されたのは現在一件だけとの報告2)があるため, 基本的には木材(家屋)への被害に絞ることができ, ヤマトシロアリやイエシロアリのような「分布」という表現は当てはまらず, 今回の分布図のように被害発生地点をプロットしていくことが妥当であると考えられる。そのため, プロットを線でつないで「領域」のような表現ではなく, プロットの「密度」でアメリカカンザイシロアリの生息地点(被害の集中度合)を評価してくことが必要である。 筆者が初めてアメリカカンザイシロアリの被害家屋でアコースティック・エミッション(AE)計測をしたのが20年ほど前になる。その計測結果を学会や論文3)として発表したのだが, その当時はアメリカカンザイ5. ダイコクシロアリの分布 ダイコクシロアリは奄美大島以南および小笠原諸島に生息するため, 図4に示すように, 分布図において